研究課題/領域番号 |
23KJ1973
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
吉成 朝子 東京理科大学, 先進工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | RHEED / 機械学習 / 原子層材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではインフォマティクスを活用して,汎用性の高いSi基板上の表面超構造を精密合成し,原子層材料のバンド構造やキャリヤ輸送特性を制御する新たな手法を開拓する。 次世代エレクトロニクス材料として有望な原子層材料は,周辺環境に敏感なため物性制御には精密な界面構築が求められる。そこで機械学習による表面超構造の精密分析を活かし,原子層材料の一種である遷移金属カルコゲナイド等を種々のSi表面超構造上に作製する。表面超構造の変調で,原子層材料のエネルギー分散や電気伝導度への異方性の継承や,構造変化によるバンドギャップ変化等が期待され,界面の精密制御を行った大面積の原子層材料作製と電子物性制御法を開拓する。
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研究実績の概要 |
本研究では、インフォマティクスを活用し精密に成膜コントロールされた表面超構造上に原子層材料を作製することで、原子層材料の構造や物性の新たな制御法を開拓することを目指している。研究は、(1)機械学習を活用し、作製中の材料の表面状態が自動解析可能な超高真空成膜チャンバーの構築、(2)原子層材料の精密作製、(3)試料の詳細な電子物性評価 から構成される。本年度は(1)機械学習を活用し、作製中の材料の表面状態が自動解析可能な超高真空成膜チャンバーの構築 に着手し、インフォマティクス応用によって表面超構造や原子層材料の精密作製を可能とする基盤構築を目指し、機械学習による成膜条件最適化が可能な薄膜試料作製装置の立ち上げを行った。 本年度はこれまで提案してきた自動解析手法を実際の成膜装置に適用するため、まず組み立てを行ってきた成膜装置の一種である分子線エピタキシー(MBE)装置に各種真空部品と原子層材料作製に必要な蒸着源を取り付け、超高真空チャンバーの立ち上げを完了した。続いて、これまで提案してきた解析手法を適用するために、解析プログラムの汎用化とRHEEDパターンの撮像カメラとPC間の連携を試み、撮影したRHEED画像をその場で解析できるシステムを構築した。 そのシステムを用いて,実際にSi(111)清浄表面上のインジウム蒸着過程をテスト観測した。Si(111)の単位砲を1×1とした場合の超構造周期a×bは,インジウム蒸着量に応じて√3×√3,√31×√31,4×1と構造相転移するが,それぞれの超構造表面について,成膜条件(インジウム蒸着量)を最適化しながらの作り分けを達成できた。この際、解析システムを用いることで作製しながらのリアルタイム解析にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)機械学習を活用し、作製中の材料の表面状態が自動解析可能な超高真空成膜チャンバーの構築、(2)原子層材料の精密作製、(3)試料の詳細な電子物性評価 から構成され、本年度は当初の目標である(1)機械学習を活用し、作製中の材料の表面状態が自動解析可能な超高真空成膜チャンバーの構築について達成をすることができた。実際にSi(111)清浄表面上のインジウム蒸着過程をテスト観測し、解析システムの実証にも成功した。 以上より、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
(2)原子層材料の精密作製、(3)試料の詳細な電子物性評価 に向け、他原料の蒸着パラメータ調整について進める。この際、初年度に達成した解析システムを活用することで効率的な材料作製条件の探索が見込める。また、(3)電子物性評価のためには試料ホルダーの共通化が必要であり、成膜チャンバーの試料ステージ改良にも引き続き取り組む。
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