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人工ふ化放流がサケの適応度低下を引き起こす行動生理メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1983
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分40040:水圏生命科学関連
研究機関日本大学

研究代表者

阿部 貴晃  日本大学, 生物資源科学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード心電図 / サケ / 遡上行動
研究開始時の研究の概要

近年のサケ類において、人工ふ化放流によって引き起こされる遺伝的な変質(家魚化)が問題視されている。放流魚には、初期生活史における選択圧が働かないため、放流魚は自然産卵で再生産された魚(野生魚)よりも、生存率が低く、繁殖競争に弱いとされる。しかし、ふ化放流による繁殖競争力の低下といった負の影響は、全ての種で確認されるわけではなく、種ごとの生活史にも左右されることから、人工ふ化放流がサケ類に及ぼす影響は、十分に理解されているとはいえない。
本研究は、代謝計測、行動計測を組み合わせ、野生魚と放流魚の生理・行動形質を詳細に比較することで、ふ化放流による適応度低下の至近的メカニズムを考察するものである。

研究実績の概要

令和5年度は、サケの心電図記録の解析と野外のデータ取得、これまでに得られたサケの遡上データの再解析を行った。代謝速度(酸素消費速度)を計測したサケの心電図記録の解析から、心拍数と代謝速度の関係を検討した。その結果、心拍数と代謝速度の関係について、安静時は心拍数と代謝速度は線形関係にあるが、心拍数が急激に増加すると代謝速度は心拍数の増加分以上に増加することが明らかとなった。野外では、サケ親魚は繁殖に伴った闘争を行うことから、ケーブルの断線などが予想された。そこで、野外で活動するサケ親魚の心拍数計測手法を検討した。
ケーブルの保護方法、電極の留置方法を改良し、心電図記録計をサケ親魚2尾に装着して放流したところ、全個体から数日間の心電図記録を取得することができた。
三陸沿岸域に回帰するサケの遡上特性を明らかにするために、過去に収集したアクティブ・トラッキングのデータ解析を行った。その結果、三陸沿岸域のうち、北上川水系に回帰するサケについては、河川に進入するタイミングによって遡上場所が異なり、早期に遡上した個体ほど遡上距離が長いことがわかった。 10月に遡上するサケは産卵場に到達するまでに1週間から3週間を要し、11月に遡上するサケの多くは数日から1週間を要することが一般化加法混合モデルによって推察された。また、遡上場所と再捕獲の記録から、北上川水系を遡上するサケの多くが野生魚であること、経験水温と先行研究により推定された適水温との比較から、北上川水系のサケは生理的な適水温よりも低い温度を中心として遡上していることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

三陸沿岸域に回帰するサケの行動生理特性を明らかにするためにこれまでに収集したデータを解析した。北上川水系を遡上するサケ遡上生理特性に関する論文は、現在国際誌に投稿中である。また、野外でのサケの心電図記録手法を確立することができた。
一方で、本申請課題の中心的なテーマである野生魚と放流魚の比較については、三陸沿岸域における記録的な不漁により実験に必要な個体数を確保するのが困難であり、野外でのサケの活動データを十分に収集することができなかった。そのため、計画の一部変更を余儀なくされている。

今後の研究の推進方策

今後も、三陸沿岸域におけるサケの漁獲量が低位で推移していく可能性があることから、令和6年度では、サケの漁獲量が多い地域に研究場所を移して研究を進めることを検討している。現在、共同研究者とともに、北海道における供試魚の確保場所、実験場所の検討を進めている。
また、野生魚と放流魚の行動生理学的な差異については、サケに限らず、すでに共同研究者が実験を進めているサクラマスでも検証が可能であることから、サクラマスでの実験計画についても議論を重ねている。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] The Ecological Benefit of Aerobic Scope in Cost of Transport for Chum Salmon Migrating Upriver2024

    • 著者名/発表者名
      Takaaki K. Abe, Takashi Kitagawa, Yoshinari Yonehara, Katsufumi Sato
    • 学会等名
      International Bio-Logging Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] サケを中心とした高度回遊性魚類の代謝速度研究2023

    • 著者名/発表者名
      阿部貴晃
    • 学会等名
      個体群生態学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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