研究課題/領域番号 |
23KJ2056
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
曲 揚 早稲田大学, 政治経済学術院, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 日中戦争 / 宣伝工作 / 華北占領区 / 新聞統合 / 文学の戦争動員 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日中戦争期(1937-1945年)を対象に、日中両国が中国大陸部で行った宣伝工作について、文化的武器とされた文学に焦点を当て、プロパガンダと戦時下の文学を総合的に検討する学際的研究である。 本研究は、日中戦争期の中国大陸で発行された各勢力の代表的定期刊行物を対象に、日本とその協力政権、共産党、国民党による宣伝活動の攻防を解明し、文学と宣伝の関係を検討する。本研究は史料に基づく実証的研究であり、日中戦争期の日中両国の各勢力が発行した宣伝関係の新聞雑誌、公文書史料を分析し、史料整理、新聞言説分析、宣伝工作に利用された文学テクスト分析の三点を基軸に、螺旋状に研究を進める。
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研究実績の概要 |
本研究は、日中戦争期の日中両国が戦争動員のために行った宣伝工作、そして文化的武器とされた文学に焦点を当て、プロパガンダと戦時下の文学を総合的に検討するものである。2023年度は華北占領区を事例に、研究動向の整理、そして文献資料の調査、収集と分析を中心に行った。成果は以下の3点である。 (1)華北占領区で行われた宣伝工作の組織構成と管理方針の変化などを整理しながら、区内の中国語新聞が北支那方面軍と同盟通信社の指導の下で『華北新報』一紙へと統合された過程を検討し、すでに蓄積のある戦時下の日本本土や満洲などの地域における宣伝工作に対して、華北占領区の「宣伝戦」・「思想戦」がいかに進められたかという視座を提示した。この成果は、2023年11月、日本メディア学会2023年秋季大会において報告し、論文投稿を行いました。 (2)華北占領区で発行された中国語新聞雑誌を中心に、現地の中国人作家たち、特に無名な創作者たちの文学創作に対して、初歩的な整理と分析を行い、戦争の狭間に挟まれている文学テクストから、現地の宣伝工作の現場におけるせめぎ合いの様相を考察した。この成果は、2023年6月、20世紀メディア研究会の第167回研究会において報告をした。 (3)華北占領区の日本人居留民に対する宣伝工作をめぐる資料調査と収集。日中戦争期の北京・天津における日本語メディアと日本語文学の状況について、近年、代表的な新聞雑誌の復刻などをはじめ、研究成果の蓄積があり、日本人文学者や文化人のネットワークがある程度解明されてきた。それらの資料と先行研究を踏まえ、占領区における対中国人と対日本人の宣伝工作を比較し、次年度以降に論文として投稿するとともに、共産党や国民党を代表とする中国側が行った宣伝工作との比較につなげていく予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究計画に沿って資料収集のため中国へ赴き、中国国内では所蔵される新聞雑誌や公文書を調査した。こうして収集した資料に基づき、戦時下における華北占領区の日本とその協力政権が行った宣伝工作に関して、学会発表や論文投稿を行った。また、華北占領区の日本人居留民に対する宣伝工作をめぐる資料調査と収集を行い、基礎的な研究動向の整理を行うことができた。 2023年度は学会報告2件、論文投稿1件を行い、成果を報告することができたため、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度について、日中戦争期の宣伝工作と文学利用に関する資料を収集することは、2023年度と同様である。だたし、2024年度は、各勢力の代表的定期刊行物の言説抽出を重視する。 2023年度の研究活動を踏まえ、研究対象である代表的定期刊行物の記事を対象に言説分析を行い、日本とその協力政権が行った中国語による宣伝工作のほか、占領区の日本人居留民に対する宣伝工作、そして共産党、国民党がそれぞれ構築しようとした戦争認識を整理する。そして、研究対象である代表的定期刊行物の文芸関係内容を抽出し、文学言説の場の確保と言論統制などの政治活動への加担をめぐるせめぎ合いを検討する。 また、プロパガンダ関係の研究者との研究会を予定している。研究会を通じて研究者とともに議論することで、研究内容を発展させたいと考えている。
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