研究課題/領域番号 |
23KJ2075
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西村 佳那子 同志社大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 噴霧形成 / 噴霧微粒化 / 分裂モデル / ノズル内流動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、噴霧の微粒化および混合気形成過程の解明と新規モデルの開発による数値計算の高精度化である。本研究では、噴霧の微粒化および噴霧間干渉、蒸発過程などの複雑な移動現象を伴う噴霧の混合気形成メカニズムの解明に加えて、噴霧形成場の複雑な流動や噴霧の壁面衝突により変化する噴霧特性の把握を行い、それらの物理現象に則した現象論的モデルを開発することで、複雑な雰囲気場における噴霧の混合気の空間分布を高精度に予測し濃度の時空間分布制御を可能とする。
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研究実績の概要 |
非定常気液二相流場における噴霧微粒化および混合気形成過程について、内燃機関における燃料噴霧の噴霧形成過程の解明に取り組んだ。 多噴孔ノズルによる噴霧は噴霧同士の干渉が生じることが多く、噴霧形成過程の解明には噴霧間干渉のメカニズムの解明が不可欠である。噴霧間干渉としては、液膜同士の干渉、液滴の衝突合体、コアンダ効果による噴霧内部の圧力分布の発生などのさまざまな現象が挙げられる。本研究では噴孔数の異なるノズルを用いて可視化計測を実施し噴霧特性解析を行った。これらの実験解析と同条件にて、噴射時の液膜初期条件を変化させた数値計算を実施することにより、対象とした吸気管噴射用の多噴孔ノズルではノズル内流れの違いによる噴射時の液膜状態の差異がその後の噴霧形成に大きな影響をおよぼすことを明らかにした。この知見から、噴射時の状態予測を可能とする、噴射に至るまでの圧力損失を考慮したノズル内流れのモデルを考案した。モデルの精度検証は実験結果との比較により行ったが、モデルによる計算結果と実験結果はよく一致しモデルの妥当性が示された。このノズル内流れのモデルを現在数値シミュレーションコードの開発を行っている分裂モデルに導入することで、モデルの高精度化が見込まれる。 また、噴霧の微粒化メカニズムとその後の噴霧‐液滴間の運動量交換特性を考慮した、幅広い噴射条件/雰囲気条件において噴霧先端到達距離を体系的に予測する手法を考案した。本予測手法は、近年の高効率化のための高圧燃料噴射化や高過給化、ひいてはカーボンニュートラル燃料など既存燃料と異なる物性を持つ燃料の使用が検討されていくことが想定されるなか、噴射方式・エンジン方式の括りを越えた、体系的な噴霧研究および現象解明に役立つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多噴孔ノズルによる噴霧形成過程の解明より、本研究で対象とする噴射条件では噴射時の状態が噴霧形成に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。これより当初の計画である噴霧特性解析に加え、噴射に至るまでの圧力損失を考慮したノズル内流れのモデルを考案した。このノズル内流れのモデルを現在数値シミュレーションコードの開発を行っている分裂モデルに導入することでモデルの高精度化が見込まれるため、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在数値シミュレーションコードの開発を実施している分裂モデルに噴射に至るまでの過程のモデルを導入しする。この分裂モデルを用いてCFDシミュレーションによる数値解析を実施し、モデルの精度検証および様々な条件下での噴霧形成過程について考察を進める。
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