研究課題/領域番号 |
23KJ2108
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
後藤 健志 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(RPD)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | アヤワスカ / アマゾニア / 生態学的精神 / ニューロ・スケープ / 学際研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アマゾニアの薬草茶アヤワスカをめぐる諸実践が、人間の精神的世界と物質的世界にもたらす「治癒」の効果について、人類学的調査を通じて明らかにする。そして、ヒトの神経系を文化・社会的過程を含む不均質な「景観(ランドスケープ)」と見立て、生態学的全体性から捉える「ニューロ・スケープ」の概念に立脚し、調査から得られた知見を人文科学と自然科学に跨る学際研究へと展開する可能性を模索する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アマゾニアに産する向精神性の薬草茶アヤワスカをめぐる諸実践が、人間の精神的世界と物質的世界にもたらす「治癒」の効果について、人類学的調査を通じて明らかにすることである。また、そこから得られた知見を、ヒトの神経系を文化・社会・生態といった様々なフローが複合的かつ重層的に流動する「ニューロ・スケープ」として捉える観点から理論化することで、人文科学と自然科学に跨る学際研究へと展開することである。 2023年度の研究では、これまでの調査から得られたデータをもとに、アヤワスカがもたらす「治癒」が、どのような効果として実践者たちによって経験されているのか分析した。具体的には、アヤワスカ儀礼の過程で起こる諸現象を、アヤワスカ宗教の一教団であるサント・ダイミの諸観念、およびに同宗教が成立する背景となったスペイン語圏のベヘタリズモの諸観念と照合させるアプロ―チをとった。 主要な研究成果としては、2024年に刊行予定の『社会:霊長類学と人類学の新たな協働をめざして(仮題)』(京都大学出版会)に「生態・生理・認知のまじわるところ:サイケデリック宗教の観点から考える社会性の進化」と題する論文を寄稿することができた。当論文は人類学と霊長類学の共同研究の成果であり、本研究の鍵概念である「治癒」が、霊長類にとっての社会性の進化といかに密接な関係にあるのか、生物学的な語彙を用いて記述し、明らかにすることできた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究では、理論研究および執筆という点では、ある程度の進展が見られた。一方、当初想定していたような医療などの応用的分野との学際研究に関しては、いまださらなる検討が必要であると認識するに至った。それは専門分野間の知識の隔たりが、想像以上に大きいことに由来する。何をもって他分野に対して有効な知識として提示しうるのか、さらに認識を深めていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
まず最も重要なこととしては、アマゾニアでの実地調査と文献研究をさらに推進していくことである。それにより、他分野に対して発信する知識の基盤をさらに充実したものにする必要がある。 また、アヤワスカをめぐる学際研究は、国内では研究者人口の少なさや法規制といった様々な限界がある。そのため、今後はブラジルや欧米の研究者たちとの間で、どのような連携が取れるのか、さらに模索していく必要がある。
|