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光・温度応答性高分子を用いたスマート培養基材の開発と細胞制御システムの創出

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ2110
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分90120:生体材料学関連
研究機関関西大学

研究代表者

沖原 正明  関西大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード刺激応答性高分子 / 細胞培養 / メカノバイオロジー / 光応答性高分子 / 温度応答性高分子 / 細胞制御
研究開始時の研究の概要

近年,細胞は周辺環境の性質変化を認識して,自らの接着や伸展,分化などの細胞挙動を変化させることが明らかとなってきた。しかし,生体内の複雑な細胞周辺環境を模倣し,厳密に細胞挙動を制御できる材料や技術は確立されていない。本研究では,光照射により物理的性質の弾性率を制御し,温度変化により化学的性質の親水性・疎水性を変化させることができる二重刺激応答性高分子を利用して,生体内における動的かつ複数の物理的・化学的性質が変化する細胞周辺環境の再現を可能にし,その性質変化による細胞培養の環境変化により,細胞挙動を任意に制御ができるスマート細胞培養基材の開発および時空間的細胞制御システムを創出する。

研究実績の概要

本研究では,光照射により物理的性質の弾性率を制御し,温度変化により化学的性質の親水性・疎水性を変化させることができる二重刺激応答性高分子を合成し,生体内における物理的・化学的性質が変化する複雑な細胞環境の再現を可能にするスマート細胞培養基材の開発および時空間的細胞制御システムの構築を目指している。
本年度は,光・温度応答性高分子の合成および細胞培養基材を開発した。合成した高分子を光の照射によってフィルム化またはゲル化させることで,二重刺激応答性スマート細胞培養基材の作製に成功した。次に,このスマート細胞培養基材の光応答挙動と温度応答挙動を詳細に評価し,あらゆる外部刺激パターンでの性質変化を調査した。その結果,この基材は光を照射することで架橋を形成し,基材の物理的性質である弾性率を光照射時間によって制御できることが明らかとなった。また,温度を変化させることで基材の親水性・疎水性を変化させることがわかった。
次に,このスマート細胞培養基材の表面上において細胞を培養し,光照射による幅広い領域の弾性率制御および温度変化による親水性・疎水性スイッチングの動的性質変化と細胞の接着や伸展などの細胞挙動との相関を評価した。その結果,光照射時間を変化させた基材上で細胞培養することにより,基材の弾性率差を細胞が認識し,細胞の伸展挙動に影響を与えることが明らかとなった。また,スマート細胞培養基材上で細胞培養中に培養温度を37度から30度へと任意に温度変化させることで,細胞の接着挙動をコントロールできることがわかった。これより,細胞周辺環境の物理的・化学的性質の変化が細胞挙動に大きな影響を与えることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,光・温度応答性高分子の合成し,スマート細胞培養基材の設計と時空間的細胞制御システムを構築する予定である。本年度の研究で,光・温度応答性高分子の設計を確立し,二重刺激応答性スマート細胞培養基材の作製に成功している。さらに,スマート細胞培養基材上での細胞培養実験により,基材の性質変化が細胞挙動に影響を与えていることが確認できた。そのため,現在の研究進捗状況を「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

本研究は,細胞周辺環境の性質変化により細胞挙動を制御できるスマート細胞培養基材の設計と時空間的細胞制御システムの構築を目的としている。そのため,今後の研究の推進方策として,光・温度応答性高分子を用いたスマート細胞培養基材の有用性を詳細に検討する。光照射時間による弾性率変化や温度変化による親疎水性変化をさせた基材上で様々な細胞種(線維芽細胞や間葉系幹細胞,癌細胞,血管内皮細胞など)を播種し培養する。その際,細胞周辺環境の変化が細胞へ与える影響などを細胞挙動の変化,遺伝子・タンパク質発現およびシグナル伝達などで評価し,細胞環境変化による細胞応答のメカニズムを解明する。さらに,基材の物理的・化学的性質のチューニングによって間葉系幹細胞の分化挙動における任意な分化誘導および分化効率の制御についても検討する。また,時空間的かつ任意な性質変化と細胞挙動との相関データを利用し,簡易的な外部刺激のみによる任意な細胞制御が可能となる時空間的細胞挙動制御システムの構築を試みる予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Design of dual stimuli-responsive gels with physical and chemical properties that vary in response to light and temperature and cell behavior on their surfaces2023

    • 著者名/発表者名
      Okihara Masaaki、Matsuda Akana、Kawamura Akifumi、Miyata Takashi
    • 雑誌名

      Polymer Journal

      巻: 56 号: 3 ページ: 193-204

    • DOI

      10.1038/s41428-023-00865-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 光と温度により弾性率と親疎水性を変化できるスマートマテリアルの創製と細胞制御機能2023

    • 著者名/発表者名
      沖原正明,河村暁文,宮田隆志
    • 学会等名
      第72回高分子学会年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Design of dual stimuli-responsive polymer films with controllable physical and chemical properties and cell regulation on their surface2023

    • 著者名/発表者名
      Okihara Masaaki,Kawamura Akifumi,Miyata Takashi
    • 学会等名
      13th International Congress on Membranes and Membrane Processes (ICOM2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Design of Dual Stimuli-responsive Polymers with Controllable Physical and Chemical Properties and Cell Behavior on Their Surface2023

    • 著者名/発表者名
      Okihara Masaaki,Kawamura Akifumi,Miyata Takashi
    • 学会等名
      The 13th SPSJ International Polymer Conference (ICP2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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