研究課題/領域番号 |
23KJ2128
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
安倍 紘平 沖縄科学技術大学院大学, マイクロ・バイオ・ナノ流体ユニット, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 液滴合一 / 粒子安定化エマルション / 乾燥 / 固体膜形成プロセス / 粒子分散液 / 光干渉断層計 |
研究開始時の研究の概要 |
水中に不揮発性の油滴が分散しており、水と油滴との界面に固体粒子が吸着している粒子安定化エマルションは、フィルムやポーラス材料などへの応用が期待されている。これらを作製する際にはエマルションを乾燥させるといった工程が頻繁にもちいられている。乾燥は、放っておくだけでプロセスが進行するため、きわめて簡易的な手段といえるが、乾燥中、分散油滴には圧縮力がかかっており、それを考慮したうえで液滴の変形/合一を制御できるような最適な条件設計を行うことはいまだ困難だ。本研究では、乾燥によって液滴にはどの程度の力がかかっているのかを概算し、固体性を含んだ液滴の力学的応答に関する学理を構築する。
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研究実績の概要 |
本年度はおもに、マイクロ流体チップの組み立てと、チップによる単分散エマルションの作製、単分散エマルションの乾燥実験および画像解析に取り組んだ。加工したガラスチューブから自作のマイクロ流体チップを組み立て、そのチップを使って液滴径がおよそ120 umできわめてよく揃った水中油滴分散型の単分散エマルションを作製した。エマルションをガラスキャピラリーの中に入れ、キャピラリーを放置してエマルションを乾燥させる。乾燥による油滴圧縮・合一の様子を光学顕微鏡で撮影した。 顕微鏡観察により得られたエマルションの経時変化画像から、油滴サイズの変化および個数の変化を測定した。画像解析ソフトのMATLABで、サイズに応じて異なる色を割り当てて液滴をマーキングし、それぞれのサイズの液滴個数の経時変化も同時に算出できるようなコードを作成した。画像解析から、液滴合一が起こった場所を特定し、かつ全体の液滴数変化のダイナミクスを定量的に評価することができるようになった。 また、水中に液滴ではなく固体粒子を分散させた粒子分散液の乾燥による成膜プロセスに関する研究にも取り組んだ。乾燥によって液が流れる方向に対して斜めに気液界面を設定し、粒子膜の形状変化を観察した。その結果、粒子充填面は液流れ方向に対して垂直になるように成長することを明らかにし、その変化を数理モデルで記述することにも成功した。この成果は学術論文として発行された。 さらに、光干渉断層計を用いて非破壊で乾燥中の分散液内の粒子濃度分布を測定することを試みた。分散液内の光路長の分布を測定し粒子濃度に換算することで濃度分布を得た。この新しい手法はきわめて高速で濃度分布を得ることができるというメリットを持っており、この取り組みについても学術論文にまとめ、掲載受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロ流体チップを組み立て、単分散エマルションを作製できていることに加え、粒子安定化エマルションの乾燥実験および画像解析のプロセスも既に確立していることから、予定通りに進展していると判断した。実験のおおまかな手法については方針が固まっており、あとはパラメーターを振ったうえで実験を繰り返し、合一速度に生じる違いを得る段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
粒子濃度を振ったうえで粒子安定化エマルションを作製し、液滴合一速度および液滴の変形度に生じる違いを観察する。油滴数の時間変化から合一が起こる臨界条件を特定し、臨界条件が粒子濃度に対してどのような依存性を有しているかを検証する。また、粒子形状を変えたうえでエマルションを作製・乾燥させ、粒子の種類による影響も調べる。
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