研究課題/領域番号 |
23KJ2142
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
大場 あや 国立歴史民俗博物館, 国立歴史民俗博物館, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 葬儀の変容 / 中国 / 台湾 / 新生活運動 / 殯葬改革 / 火葬化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、葬儀が変容するメカニズムを、産業化・市場化に伴う葬儀業の発展・普及のみならず、新生活運動など官製の改革運動・政策の影響と地域住民の主体的な動向に注目しながら検討することを目的とする。 具体的には、現在進行形で葬儀改革が推進されている中華人民共和国の江西省を主なフィールドに、政府、地方政府、殯儀館、地域住民のそれぞれの思惑を行政資料、新聞・雑誌、学術書および聞き取りから解明する。これら相互作用の結果を日本の事例とも対照させながら比較分析することにより、日本と中国における近代化と葬儀変容の特質を照射したい。
|
研究実績の概要 |
初年度の計画は、国内(石川県)・国外(中国江西省)の事例ともに基礎資料の収集・読解、および現地での聞き取り調査を中心に進めることであった。しかし、予期せぬ災害や政治状況により、研究計画の大幅な変更が余儀なくされた。そこで、①日本からでも閲覧・収集できる資料を用いて言説分析を行いつつ、②主な調査地を台湾に変更して文献調査・聞き取り調査を進めた。③石川調査は様子をみ、次年度に持ち越すことにした。 ①について今年度は、2018年の「棺強奪・破壊事件」が広く注目された江西省における殯葬改革の動向をまとめ、様々な立場の人々がどのような論理のもと議論を展開しているのか、新聞・雑誌・インターネット記事における言説を分析した。江西省の殯葬改革は、ここ数年のうちに少なくとも火葬化という点において大きな影響をもたらしているが、複数の研究者が専門的見地からその進め方の是非を問い、村民も率直な思いを語っていた。とくに、インターネット上で議論が活発化・批判が増幅し、省政府や中央メディアまでも動かすこととなった点は注目される。つまり、本事例は、省政府による一方向的な政策の結果ではなく、当事者である村民、インターネット上の市民、研究者、中央政府などの相互作用によるものだと言える。以上の成果は、2023年9月の日本宗教学会において口頭発表を行い公表した。 ②に関しては、同年9月に台北市にて新生活運動および殯葬改革に関する資料を収集し、その内容を分析した。また、新北市の公共墓地および納骨堂の現状と移転状況を視察した。2024年4月初旬の清明節には、台北市・新北市の火葬場・葬儀場、墓園にて参与観察および聞き取り調査を行う予定である。次年度も調査を進め、得られた成果を論文として投稿し、国内外の学会等にて口頭発表として公表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画からやむを得ない事情により大幅な変更を余儀なくされたが、江西省の殯葬改革をめぐる言説分析や台湾での現地調査など、可能な調査を積極的に進め、成果につなげることができた点では、研究テーマを着実に進めていると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、台湾での文献調査・聞き取り調査を進めつつ、状況を見ながら江西省に関する調査および石川県での聞き取り調査を進めていく。次年度は、引き続き学会等での口頭発表を行いつつ、成果を論文として公表する予定である。
|