研究課題/領域番号 |
23KJ2155
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
田中 真仁 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | マウス初期胚 / lamin B1 / 核の力学 / 物性計測 |
研究開始時の研究の概要 |
核膜の裏打ち構造であるLaminの消失は、一般的に核が脆弱になり、その結果、核内のDNAが損傷し、細胞死やがん化など負の影響を及ぼす。代表者はマウス初期胚の細胞分化に重要な胚性ゲノムの活性化が起こる時期に核膜laminが減少し、また核が軟化することを見出した。さらにlaminの過剰発現は胚発生に影響を及ぼした。これらのことからLaminの消失が胚発生に必須であると考えた。そこで、初期胚のlaminが減少する分子機構の同定、またlaminの量的変化が及ぼす核の物性変化や生理機能の解析を行い、laminの減少による核の脆弱性とその発生生物学的意義を解明し、Laminが持つ新規の機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
マウス初期胚発生における核膜Laminの減少と核の軟化が持つ発生生物学的な機能を明らかにするために今年度は、1)初期胚の核膜Laminの動態制御メカニズムの同定、2)Laminの減少がいかに核の物性変化に関与するのかを調べた。さらに、3)核膜Laminの量的変化とそれに伴う核の物性変化がいかに胚発生に関与しているかについても調べた。具体的な研究成果を以下に記述する。 1)蛍光プローブで標識したlaminの高解像ライブイメージングとlaminの免疫染色を行った結果、4種類のlamin (A/C, B1 and B2)のうち、lamin B1が2細胞期特異的に減少していることが分かった。薬剤阻害実験やlamin B1の変異体を使ったライブイメージングによってlamin B1が2細胞期で減少する分子制御機構を明らかにした。また、lamin B1の分解経路も同定した。 2)次に上記で使用した阻害剤や蛍光プローブで標識したlamin B1を使い、核膜にlamin B1を過剰に局在させたときの2細胞期胚の核の物性を独自開発したガラスキャピラリー法を用いて計測した。その結果、lamin B1を過剰発現させた2細胞期胚の核は未処理の2細胞期胚の核に比べて硬さが増加し、また弾性的になった。 3)さらに、lamin B1を過剰発現させた2細胞期胚はその後の発生が停止することも分かった。Lamin B1の量的変化とそれに伴う核の物性変化が及ぼす発生生物学的機能を調べるためにlamin B1を過剰発現させた胚を使ってRNA-Seqを行った。その結果、lamin B1を過剰発現させた2細胞期胚は、未処理の胚に比べて胚発生に必要な遺伝子発現が大規模に抑制されていることが分かった。一方、核が硬くならないlamin B1変異体を過剰発現させた胚では、胚発生に必要な遺伝子発現が抑制されないことも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の目標であったマウス初期胚の2細胞期でいかにして核膜 Lamin が減少するのか、その分子メカニズムの同定が予定通り行うことができたため。また、次年度に予定していた初期胚の Lamin の量的変化が与える核の物性変化やLamin の量的変化と生理機能の関係の解析まで実験を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度作成したlamin B1の変異体を使って、2細胞期でのlamin B1の減少がいかにして遺伝子発現を制御しているのか、その詳細な分子メカニズムを調べる。また、lamin B1過剰発現による核の硬化とは異なる方法で核の物性を人為的に変化させることでlamin B1の動態変化と核の物性変化のどちらが、もしくはその両方がいかに胚発生に関与しているのかについても調べる。
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