研究課題/領域番号 |
23KJ2176
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中沢 雄河 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ミュオン / 冷却 / 輸送ビームライン / 位相空間分布 |
研究開始時の研究の概要 |
新しい量子ビームイメージングとしての透過型ミュオン顕微鏡の技術開発を行う。高い透過力を持つミュオンは、試料の3次元的な可視化を実現し得るが、高分解能の像を得るためには、エネルギー的に単色かつ空間的拡がりが小さい高輝度なミュオンビームの生成が必要となる。 本研究では、透過型ミュオン顕微鏡実現に向けた高輝度ミュオンビームの開発として、低速ミュオン源の開発とサイクロトロンによるミュオンビームの加速実証を目指す。低速ミュオンの生成から加速に至るまでの原理を確立及び検証し、高輝度ミュオンビームが顕微鏡の分解能に与える影響を評価する。
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研究実績の概要 |
ミュオンを用いた全く新しい量子ビームイメージングとして、透過型ミュオン顕微鏡の技術開発を推進している。高分解能のイメージングを得るためには、エネルギー的に単色かつ、エミッタンス(ビームの空間的・エネルギー的な広がり)が小さいミュオンビームが必要となる。本研究では、ミュオン冷却とサイクロトロン加速による低エミッタンスミュオンビームの生成のための開発を実施した。 まず初めに、低速ミュオン源からサイクロトロン入口までの輸送ビームラインの粒子軌道計算体系を構築した。次に、計算の健全性を検証するために、大強度陽子加速器施設J-PARCミュオン科学実験施設にて、ビーム試験を実施した。低速ミュオン輸送ビームラインにMCP-DLD(Micro-channel plate with delay line anode)検出器を設置し、低速ミュオンビームの2次元(xy)プロファイル、及び時間構造を測定した。低速ミュオンビームの位相空間分布及びエミッタンスを評価したところ、測定結果は計算結果をよく再現する結果が得られた。本成果は、構築した計算体系の健全性を証明するものであり、低速ミュオンのビームコミッショニングに有用であることを示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、計算環境の整備を実施し、低速ミュオンの輸送ビームラインの粒子軌道計算体系を構築した。さらに、大強度陽子加速器施設J-PARCミュオン科学実験施設にて、低速ミュオンのビーム位相空間分布を測定し、計算との比較を行った。本成果は国内・国際学会およびワークショップで報告した。 以上を総合して、本研究はおおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、今年度の開発をさらに発展させ、低速ミュオン生成からサイクロトロン入口までのビームコミッショニングを実施する。サイクロトロン入口でのビーム位相空間分布を理解することで、サイクロトロン加速試験に向けた準備を完了させることを目標とする。 また、低速ミュオン源のさらなる高輝度化に向けて、低速ミュオンの静電引き出し電極の設計開発も並行して行う。今年度は既存の低速ミュオン源で得られる低速ミュオンビームの位相空間分布を評価したが、さらなる低エミッタンス化を目指した新しい静電引き出し電極の設計を進める。
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