研究課題/領域番号 |
23KJ2201
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
小林 大純 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ハゼ / 神経 / 洞窟 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではゲノムサイズの多様性が洞窟性種の形質進化に及ぼす影響を明らかにするため,複数の洞窟性種を含む熱帯島嶼のハゼ目とコイ目魚類を対象に,まず(1) 全ゲノム配列決定と系統解析を行い,各系の地上-洞窟性ペア種を特定する.次に(2) 特定されたペア種の形態比較と発現変動遺伝子解析を行い,各系の変異形質と関連遺伝子の特定を行う.さらに(3) ペア種ゲノム間の非相同領域と適応遺伝子の比較を行い,ゲノム縮小現象が変異形質に与えた影響を検討する.
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研究実績の概要 |
本年度の研究はコロナ特例による特別研究員の採用特例により10月から開始され、半年間の実施となった。本年度は、計画の第1段階にあたる東南アジア地域の洞窟性魚類の姉妹種特定に向けた系統解析のために必要な地上性種の網羅的な収集をインドネシア、マレーシア、およびオーストラリアでそれぞれ実施した。この過程でハゼ目魚類は約50種、コイ目魚類は約10種程度の標本とゲノム解析用の組織を収集することができた。また、この際にノコギリハゼ科を中心に対象種の側線配置を生体染色法によって観察し、洞窟性種を含む属であるOxyeleotrisにおいて、従来カワアナゴやジャノメハゼ属と同様の「体側部全体に広がる」特異な側線様式が確認され、本属においても暗所環境へ前適応的形質を保持していることが示唆された。さらに、本属については、新規収集標本と博物館標本の検討から、従来認識されていた種の中に複数の隠蔽種が含まれること、Odonteleotris等別属として考えられていたものの一部に本属と本質的に区別できないものが含まれることなど、今後の系統解析の対象種の選定に根本的に重要な系統分類学的知見が得られた。 また、予定していたインド太平洋魚類学会(IPFC11)への参加・発表を行い、国外からの参加者らと今後の研究方針やサンプルの融通について議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はコロナ特例による10月からの採用開始ということで半年の実施になったが、洞窟性種の姉妹種推定のために必要な地上性近縁種・属の標本、組織サンプルをマレーシア、インドネシア、オーストラリアの各国で収集することができた。特にメインの対象となっていたOxyeleotris属およびBarboides属については当該属を網羅的に収集できただけでなく、次年度以降に実施予定の系統解析の外群として今後重要となる種(Prionobutis等)の組織サンプルも収集することができた。また、期間中に参加したニュージーランドで開催されたインド太平洋魚類学会(IPFC11)では、アジアや欧米の洞窟魚の専門家たちと活発な意見の交換を行うことができ、ジャノメハゼ属、ホシマダラハゼ属等の一部の収集困難な分類群の組織サンプルの入手にも道筋をつけることができた。 これらの状況から、年度末時点での本研究は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、今年度収集した地上性の収集と神経系の観察を継続して行うとともに、インドネシアでの洞窟性種の収集も行う予定である。入手困難な洞窟性種の一部については、国外の博物館サンプルの分譲による入手を試みる。また、収集したサンプルの部分塩基配列による種網羅的な系統解析を実施し、洞窟魚を含む解析すべき系統群の特定作業を行い、全ゲノム解析を行う種の選定と一部のシーケンスを実施する予定である。骨格系の解析については所属機関の変更による影響もあり、分析体制を見直す必要があるが、状況が整い次第、重要なものから分析を開始する。
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