研究課題/領域番号 |
23KJ2207
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
深澤 歩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アミロイドβ / Piezo1 / TRPV4 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)の根治治療法は確立しておらず、発症機序の解明さらに予防介入法の開発が急務となっている。最近、動脈圧受容器反射の機能低下に伴った血圧変動の増大とAD発症・進行の関連が報告されているが、その機序ならびにADの発症因子とされるアミロイドβ(Aβ)との関係性は不明である。そこで本研究では圧受容器および中枢神経におけるAβ濃度の上昇が、圧反射機能の低下に伴った血圧変動の増大を惹起し、Aβのクリアランス能の低下を招来する、ならびに運動介入が圧反射機能およびAβの除去能を向上させることでAD発症・進行遅延をもたらすと仮説を立て、モデル動物ならびにヒト生体を対象に検討を行うこととした。
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研究実績の概要 |
本年度は、まず、末梢感覚神経におけるアミロイドβ(Aβ)の蓄積が機械感受性に及ぼす影響について全細胞パッチクランプ法を用いて検討を行った。Sprague-Dawleyラットの脊髄後根神経節(DRG)の培養細胞に対し、Aβ1-40/1-42の添加前後の(1)機械刺激に対する機械感受性電流、(2)Piezo1 選択的作動薬(Yoda-1)誘導性の内向き電流ならびに(3)TRPV4選択的作動薬(GSK1016790)誘導性の内向き電流を測定した。その結果、すべての刺激に対する感受性電流が、Aβ1-40/1-42の添加により減少した。この結果から、メカノレセプターであるPiezo1やTRPV4がAβにより抑制されることで、機械刺激に対する応答が減弱したと考えられる。Piezo1やTRPV4は、PI3KやAktによってその働きが調節されている可能性が示唆されている。そこで、DRGの細胞培養液にAβ1-40/1-42を添加し一晩培養した細胞を用いて、Western blottingを実施し、PI3KとAktのタンパク発現を測定した。その結果、Aβ1-40/1-42を添加したDRGの培養細胞では、phospho/total-PI3K ならびにphospho/total-Aktが減少した。したがって、メカノレセプターを調節しているPI3KやAktのリン酸化がAβによって抑制されたことで、機械感受性が低下したことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定通りに、培養細胞に対する機械ならびに化学刺激に対する電気応答を全細胞パッチクランプ法を用いて検討し、アミロイドβの蓄積が機械感受性に及ぼす影響について評価することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、循環中枢および全身性のアミロイドβ(Aβ)投与が圧反射機能に及ぼす影響について検討する予定である。Aβを単回もしくは浸透圧ポンプを用いて慢性的に脳幹(循環中枢)もしくは静脈に投与したSDラットを使用し、Aβ投与の前後で圧反射を評価する。
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