研究課題/領域番号 |
23KJ2210
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
富原 健太 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Drosophila subobscura / Drosophila madeirensis / 婚姻贈呈 |
研究開始時の研究の概要 |
ショウジョウバエの1種Drosophila subobscuraのオスは、求愛の際に消化物を吐き戻し、メスに与える婚姻贈呈を行う。しかし、そのような高度な戦略は、最近縁種のD. madeirensisを含む他のショウジョウバエではほぼ見られない。本研究では、D. subobscuraとD. madeirensisの雑種後代を用いて、両種の婚姻贈呈行動の有無を決定する直接の原因遺伝子を同定する。また、ゲノム領域のいかなる変化によって、D. subobscuraが婚姻贈呈を行うようになったか、明らかにする。
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研究実績の概要 |
ショウジョウバエの1種Drosophila subobscura (和名なし) のオスは、求愛の際に消化物を吐き戻し、メスに与える婚姻贈呈を行う。しかし、そのような高度な戦略は、他のショウジョウバエではこれまでにほとんど報告されていない。本研究は、どのようにしてD. subobscuraが婚姻贈呈という複雑な行動形質を獲得したか明らかにすることを目的としている。 <求愛行動の観察と比較> D. subobscuraと近縁な、subobscura subgroupに属する3種 (D. subobscura、D. madeirensis、D. guanche) の求愛行動を撮影し、観察・比較した。求愛時のオスの吐き戻し行動は、D. subobscuraだけでなく、D. madeirensisでも観察された。また、両種のF1 (D. madeirensisメス × D. subobscuraオス) のオスも吐き戻しを行った。D. subobscuraとD. madeirensisは、婚姻贈呈以外の求愛中の行動様式も類似していた。一方、D. guancheの求愛行動は、D. subobscuraやD. madeirensisと大きく異なっていた。 <ゲノム情報の整備> D. subobscuraとD. guancheのゲノム配列は公開されているが、D. madeirensisのゲノム配列は未解読である。そのため、D. madeirensisの参照ゲノム配列を同定するために、Pacbio Sequel IIを用いてロングリードシークエンシングを行った。得られたシークエンスデータをもとにde novo アセンブリを行った。これにより、染色体レベルの全ゲノム情報を得ることに成功した。また、RNAシークエンシングを行い、遺伝子モデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は、D. subobscuraとD. madeirensisの雑種後代で順遺伝学的解析を行い、両種の婚姻贈呈行動の有無を決定する原因遺伝子を同定する予定であった。ただし、D. madeirensisが婚姻贈呈を行ったため、大幅な計画の変更の必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
オスが求愛時の吐き戻しを行う種について、Sophophora亜属昆虫を広く探索する。比較ゲノム解析を行い、ゲノム領域のいかなる変化によって、D. subobscura並びにD. madeirensisが婚姻贈呈を行うようになったか、明らかにする。
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