研究課題/領域番号 |
23KJ2229
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白木川 奈菜 九州大学, 工学研究院, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-07-03 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 再生医療 / 肝臓 / 細胞外マトリックス / 組織工学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では肝臓移植におけるドナー不足の課題解決に向け、肝臓移植に代わる治療法として、生体内での肝組織構築法の開発を目指す。肝臓に流れ込む門脈血と、肝臓において肝細胞の周囲環境を形成している細胞外マトリックス(ECM)を移植肝細胞に提供することにより、生体内での効率的な肝組織構築を試みる。生体内において門脈と下大静脈をバイパスで接続し、その内部に肝臓由来ECMで包埋した肝細胞を移植して肝組織構築を行う「バイパス型肝臓構築法」を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では肝臓移植におけるドナー不足の課題解決に向け、肝臓移植に代わる治療法として、生体内での肝組織構築法の開発を目指す。肝臓に流れ込む門脈血と、肝臓において肝細胞の周囲環境を形成している細胞外マトリックス(ECM)を移植肝細胞に提供することにより、生体内での効率的な肝組織構築を試みる。生体内において門脈と下大静脈をバイパスで接続し、その内部に肝臓由来ECMで包埋した肝細胞を移植して肝組織構築を行う「バイパス型肝臓構築法」を開発する。 具体的には、(1)門脈と下大静脈を分岐させるT型ブランチ、及び肝細胞を生体内培養する羊膜の袋を複合した「ゆりかご」を作製する。ラット体内に接続し、血液漏洩や血栓形成を評価する。(2)肝臓由来細胞外マトリックスに包埋した肝細胞と内皮細胞からマルチフローデバイスを作製し、「ゆりかご」に充填してバイパス型肝組織を構築する。肝不全モデルラットに移植し、生体内培養により“肝臓”を構築すると共に治療効果を評価する。(3)バイパス型肝組織が完全に除去できることを実証し、生体内において独立した新しい臓器であることを明らかにする。 本年度は門脈と下大静脈を分岐させるT型ブランチ、及び肝細胞を生体内培養する羊膜の袋を複合した「ゆりかご」を作製する予定であったが、研究代表者の異動や出産があり、本年度は研究費を半分程度繰り越し、研究実施のための準備を進めた。また、次年度予定していた肝不全モデルラットの作成について検討した。チオアセトアミドを用いた肝不全モデルマウスの作出を目指し、投与翌日に血液成分のASTとALTが上昇し、急性肝不全の誘導が示唆された。また、3Dプリンタを用いて基材を作製するために共同研究の調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は本年度の7月に始まり、門脈と下大静脈を分岐させるT型ブランチ、及び肝細胞を生体内培養する羊膜の袋を複合した「ゆりかご」を作製する予定であったが、8月に研究代表者が異動し、研究室が変わったため、研究環境を整備する必要が生じた。また、9月に出産したため、9月から12月まで産休・育休を取得していた。12月の半ばから復帰したものの、無理ができず、実験するための時間の確保が困難であった。そのため、研究環境を整えることに注力し、必要な機器の購入や動物実験の申請等の準備を行った。また、3Dプリンタを用いて基材を作製するためにゲルプリンタを用いた研究を行っている研究者と共同研究の調整を行った。一方で、次年度予定していた肝不全モデルラットの作製について検討した。 以上のことより、やや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は2023年度に予定していた門脈と下大静脈を分岐させるT型ブランチ、及び肝細胞を生体内培養する羊膜の袋を複合した「ゆりかご」を作製する。また、2024年度に予定していた「ゆりかご」を用いた門脈と下大静脈間のバイパスにおける生体内での肝組織構築も行う。 ブタ血管を脱細胞化する、または3Dプリンタを用いて生分解性プラスチックで出力してゲルコートすることにより、門脈と下大静脈をそれぞれ分岐させるT型ブランチを作製する。作製したT型ブランチにヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を播種し、内部を内皮細胞で被覆し、血栓形成を予防する。一方で、羊膜を用いて肝組織構築のための袋を作製し、T型ブランチと組み合わせて「ゆりかご」を構築する。ラット体内で構築し、血液が漏洩しないことや血栓形成の有無を明らかにする。さらに、脱細胞化肝臓を可溶化して得られる肝臓由来細胞外マトリックス(肝ECM)に肝細胞を懸濁してゲル化させ、HUVECを播種・培養することで、管構造を有するマルチフローデバイスを作製する。本デバイスを門脈と下大静脈間のバイパス間に構築した「ゆりかご」に充填してラットに移植し、バイパス型肝組織構築を行い、移植前後の移植組織に含まれるDNA量の変化及びH&E染色の画像解析より、肝細胞の生着率を評価し、肝細胞の播種密度を最適化する。 以上により、2023年度の遅れを取り戻し、当初の予定通り研究を進めたいと考えている。
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