研究課題/領域番号 |
23KK0018
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田中 樹 摂南大学, 農学部, 教授 (10231408)
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研究分担者 |
小林 基 摂南大学, 国際学部, 講師 (10845241)
大谷 侑也 摂南大学, 国際学部, 講師 (10964231)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2026年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 在地生業 / 資源・生態系保全 / 市場志向型農業 / 生業複合 / ザンジバル |
研究開始時の研究の概要 |
かつてクローブの世界的産地として「スパイスの島」と呼ばれていたタンザニア島嶼部のザンジバルは、脆弱環境のもとで貧困問題と環境荒廃の連鎖が進行している。また、島外への壮青年人口の流出による過疎高齢化は、資源・生態系保全や域内経済の振興を阻害している。その解決には、住民参加を基調とする在来生業の強靭化と多面的な価値創造への取り組みが不可欠である。本研究では、スパイス作物栽培を軸とする在来屋敷林システムの強靭化、再生ソルガム栽培と小家畜(ヤギ、ホロホロ鳥)の飼養を複合する新たな生業の形成、暮らしの向上と資源・生態系の保全および域内経済の振興に資する取り組みを創発し、それらを社会実証へとつなげる。
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研究実績の概要 |
本研究は、東アフリカ・タンザニア島嶼部ザンジバルにおいて、スパイス栽培を軸とする在来の屋敷林システムの強靭化と小家畜飼養システムの新規形成および生業複合、日常的な生業活動を通じての資源・生態系の保全、小規模農民や社会的弱者層の参加を含む包括的な環境保全型/市場志向型在地生業を創発し、社会実践へと架橋することである。 小目的として、以下を設定する:① 島嶼部ザンジバル(ペンバ島)の地域特性と潜在性を把握する、② 在来屋敷林システムと小家畜飼養システムの強靭化と生業複合への実証試験を行う、③ 小規模農民や社会的弱者層の参加を基調とする地域開発アプローチを提案する、④ 日本国内の在地生業群との比較や知識・技術の相互移転の可能性を探る、⑤ 実務人材と未来専門人材の育成の仕組みをつくる(ザンジバル国家大学の機能強化)。 2023年度(10月~3月)は、2023年11月中旬~下旬に現地訪問し、ザンジバル国家大学・M.A. Sheikh教授と実施体制の確認、ペンバ島の住民組織の編成、実証試験区設営に関する打ち合わせを行った。また、2024年1月中旬に同教授を日本に招へいし、研究打ち合わせと摂南大学学長と面談し、両機関の教育・研究・社会実践における連携を確認した。また、鹿児島県奄美大島を訪問し、本研究で得られるであろう成果の日本への還流や、ザンジバルでの活動展開に資する情報(世界的な北限での熱帯性スパイス栽培、海面養殖、世界自然遺産である森林の保全など)の収集を行った。加えて、奄美市長への表敬を行い、ザンジバルと奄美大島との交流の可能性についてのアイデアを共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、研究代表者のザンジバル訪問と共同研究者(ザンジバル国家大学・M.A. Sheikh教授)の日本招へいを通じて、実施体制の確立に向けた準備を進めることができた。摂南大学での学長表敬では、両機関の学術交流協定の締結や教育・研究交流のイメージが共有された。奄美大島への巡検では、研究代表者が支援しているバニラ農園や奄美市役所で意見交換を行い、ザンジバルで行う活動のヒントを集めた。同時に、本研究で得られるであろう知見や経験を奄美大島での農業や生態系保全に還流するアイデアを得ることができた。研究の実施体制を整え、さらに奄美大島に成果還流のサイトを設置する見込みが出来たという点で、進捗状況としては「おおむね順調に推移している」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2024年度から本格化する予定である。2024年8月~9月に現地渡航し、小目的・「①島嶼部ザンジバル(ペンバ島)の地域特性と潜在性の把握」のためのフィールド調査および小目的・「②在来屋敷林システムと小家畜飼養システムの強靭化と生業複合への実証試験」に向けた実証試験圃場の整備を住民組織と行う。同じ時期に、インド・タミル・ナードゥ州の研究者をザンジバルに招聘し、本研究の実施体制に厚みを持たせ、研究成果の還流などの実現可能性を探る。小目的・「④日本国内の在地生業群との比較や知識・技術の相互移転の可能性を探る」では、奄美大島をはじめとする南西諸島でのフィールド調査を行う。小目的・「③小規模農民や社会的弱者層の参加を基調とする地域開発アプローチの提案」と小目的・「⑤実務人材と未来専門人材の育成の仕組みをつくる(ザンジバル国家大学の機能強化)」については、2025年度以降に取り組むものの、摂南大学とザンジバル国家大学との教育・研究交流協定の締結などの下準備を行う。また、研究成果を社会実装仕組みとして有望な国際協力機構(JICA)・草の根パートナー型事業への案件の提案を行う。
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