研究課題/領域番号 |
23KK0026
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加治佐 敬 京都大学, 農学研究科, 教授 (50377131)
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研究分担者 |
Mohammad AbdulMalek 東京大学, 経済学研究科, 特任研究員 (20838958)
木附 晃実 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40837655)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2026年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 貧困の罠 / 長期家計パネルデータ / アジア / アフリカ |
研究開始時の研究の概要 |
世界的最重要課題である貧困削減を実現するためには、「貧困の罠(家計が自力では貧困から抜け出せない状態)」のメカニズムを解明する必要がある。具体的には、(1)どのような条件の場合に罠が現れ、そして(2)それが長期にわたり続くのかという問いに答える必要がある。本研究ではアジア(フィリピン、バングラデシュ、インド)とアフリカ(ザンビア)の長期家計パネルデータを貧困の罠の分析に適した形に整備・拡充し、国際比較分析を行うことで(1)と(2)に答えることを目指す。
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研究実績の概要 |
海外連携科研は、初年度は9月開始と活動期間が短いため、本格始動の準備期間として位置づけ、研究計画の具体化と2024年度以降の分析や調査の準備を行った。 まずプロジェクト立ち上げ時に、日本側のメンバーは対面で、海外の共同研究者はオンラインで集まり、計画の具体的な内容の確認、修正、またスケジュールの調整を行い、プロジェクト期間内に確実に成果が出せるように計画をデザインした。 対象国各国の個別の活動は以下の通り。どの国も基本的に行ったことは、長期の貧困動態を解明するためのデータ整備の準備である。フィリピン担当は、International Rice Research Institute(IRRI)を訪れ、中部ルソンの長期農家データの整備状態や使用する際の協力関係を確認した。また、実際に調査地を訪れ、農業労働者の急速な減少や機械化、さらには農地の流動化といった現代的課題も把握すると同時に、洪水といった自然災害が局所的に深刻化しており、これが貧困からの脱出可能性の違いに結びついている実態を認識した。バングラデシュ担当は、2024年度に行う予定の調査の準備をBangladesh Development Research Institute(BDRI)と進めた。インド担当は、長期農家家計データを所有・管理するInternational Crops Research Institute for the Semi-Arid Tropics(ICRISAT)の共同研究者とデータ整備の見通しを立て、具体的にどのような分析が具体的に可能となるかの詳細を議論し、テーマの共有を行った。ザンビア担当は、統計局の共同研究者と2024-25年に行う予定の調査計画を進めた。また、ザンビア班は、ベースラインとなる家計調査を電子化し保存する作業(紙媒体の回答票をスキャンし保存)を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、調査対象各国において、長期家計パネルデータの整備もしくは構築とその分析という2段階の作業を計画している。初年度は、データの整備・構築のための準備期間とし、その活動を行った。各国とも協力機関と協議を行い、単純なデータ整備の作業を超えて、貧困動態の解明に活用できるデータのデザインを考え、それに向けた整備・構築の作業を確認した。ザンビアのデータ整理に時間がかかっているが、大きな遅れではない。協力機関からのデータ使用の制限や追加の要求などは無く、本研究は計画通りに進めることができるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
今後も長期家計データの整備・構築と分析を進める。フィリピンでは、2024年5月に中部ルソンの長期農家データのデータ収集が行われるので、その調査に参加し、本研究にとって重要となるであろう洪水などの自然災害のデータと統合する作業を行う。最新ラウンドのデータが利用可能となったら、過去のデータと統合し、貧困動態分析を始める。バングラデシュ班は、BDRIの調査に参加し、長期パネルデータの整備を進める。インドの研究では、データの整備はすでに終了しているので、日本側のインド担当研究者がICRISATを訪問し、分析作業を進める。ザンビア班は、2005年に実施された家計調査の現場を訪れ、パネルデータ構築の工程表を作成する。ザンビアの調査は2005年の初回調査から20年近く経過しており、同じ家計を見つけるためのプロトコルを作成することが重要となるため、その活動に注力する。
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