研究課題/領域番号 |
23KK0036
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
西田 恵子 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (50464706)
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研究分担者 |
名和田 是彦 法政大学, 法学部, 教授 (30164510)
阿久津 美紀 学習院大学, 文学部, 所員 (50823449)
砂金 祐年 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (00433574)
李 恩心 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (00587339)
呉 世雄 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (00708000)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | LARA / CRALOG / 戦後混乱期 / 福祉の危機管理 / 海外救援活動 / ソーシャルアドミニストレーション / 公私協働 / アーカイブズ / 戦後福祉改革期 / 社会福祉のアーカイブズ |
研究開始時の研究の概要 |
ACVAFSを母体として設立されたLARAとCRALOGが第2次世界大戦後に日本、韓国、ドイツにおいて救援物資の提供を通じて行った活動は国によって受け入れに大きな差異があった。救援活動をする側と救援を受け入れる側それぞれの実態を把握し、戦災や自然災害等で危機下にある国や地域、そして要援護者及び福祉施設等に対する効率的かつ効果的な海外からの救援活動の要件を国際比較を行うことによって明らかにする。併せて被救援国のエンパワーメント及び自立について検討する。副次的な研究課題として福祉施設や民間団体の各種文書及び資料等のアーカイブズの構築と運営をとらえ、日本における取り組みの方向性と課題の検討も行う。
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研究実績の概要 |
初年度の2023年度は、研究会を4回開催して研究課題の共有をはかりながら、アメリカにおける調査、ドイツにおける調査、韓国における調査を実施した。 アメリカにおける調査では、LARA及びCRALOGの構成団体のひとつであったAFSCのアーカイブセンターを中心に文書の閲覧と撮影を行った。連携研究者である同センターのアーキビストから助言を受けながら閲覧資料の選定を行うとともに意見交換を行ない、海外救援を実施する動機やマネジメントの専門性及び蓄積について考察することができた。メノナイトのアーカイブセンターにおいても研究課題に即した文書の閲覧と収集を行うことができた。 ドイツにおける調査では、CRALOGの実態把握のためブレーメン州立文書館を拠点として文書の閲覧と撮影を行うとともに、ドイツにおける連携研究者の拡大をはかることを目的としてブレーメンのソーシャルワークの研究者、ドイツ史の研究者、ソーシャルワーカー等と情報交換、意見交換を行った。またベルリン州立文書館とドイツ赤十字アーカイブセンターにおいても文書の閲覧と撮影を行った。 韓国における調査はソウルで行った。LARAの実態把握のため国会図書館、社会福祉館、福祉財団で資料閲覧と情報収集に努めた。訪問した社会福祉館はメソジストが設置した施設であり、戦後混乱期の施設運営を経て現在に至っている。閲覧するべき資料が複数あることが把握でき、今後継続して訪問する関係を形成することができた。また、福祉財団からは調査協力先の情報と助言を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の目的の第一は、危機下の要援護層に向けた海外の民間救援活動の組織化とその運営要件を明らかにすることにある。第二は、過去の事例から学ぶツールとしての社会福祉・ソーシャルワークのアーカイブズの構築方策を構想することである。 そのために(1)戦後混乱期の主たる政治状況、経済状況、規範の状況、コミュニティの状況と要援護者に関わる統計の推移及び支援策の推移の把握 (2)戦後混乱期の福祉施設の運営に関わる資料の閲覧及び収集と整理 (3)戦後混乱期の要援護者の生活実態に関わる資料の閲覧及び収集と整理 (4)LARA及びCRALOGに関わる資料の閲覧及び収集と整理 (5)CARE等他組織による救援活動に関わる資料の閲覧及び収集と整理 (6)高齢者等を対象とした戦後混乱期の生活困難と海外救援のインタビュー調査 (7)公文書館及びアーカイブセンター等の社会福祉関連アーカイブズの運営方法の把握、を研究期間全体を通じて行うことを計画している。 初年度は国際的な研究課題をもつこの研究を進める上で欠かせない海外における調査の基盤を整備することが重要であった。その点、アメリカ、ドイツ、韓国、3か国それぞれにおいて連携あるいは協力を得る研究者等に研究課題の理解と関心を求め、関係を形成することができたことは順調な進展だといえる。また、3か国における関連文書及び情報の収集は、(1)(2)(3)(4)(5)に直接、関わるものであり、膨大な研究作業を必要とするこの研究において着実な取り組みの一歩となった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究活動を礎として次年度は (1)海外の連携研究者との関係をさらに形成する (2)海外における調査を継続して収集資料を蓄積する (3)研究マトリックス図を精査しブラッシュアップをはかる (4)日本、韓国、ドイツの戦後混乱期の統計情報等を収集及び整理する、ことを行う。また機会をみて研究成果の発表を行う。 日本においては定期的に研究会を開催し、研究全体の進捗状況を共有するとともに、収集した文書及び情報の把握と研究課題における意義の検討、さらに研究の視座の妥当性の検討を行う。必要に応じて国内の補足調査を企画実施する。 アメリカにおいては引き続きAFSCアーカイブセンターを中心に文書の閲覧と撮影を進める。またAFSCとメノナイト以外のLARA及びCRALOGの構成団体について可能な範囲でアーカイブズを閲覧する。さらに日系移民と韓国移民の戦前・戦中・戦後のアメリカにおける動向の把握を企画する。連携研究者とは随時、情報交換、意見交換を行い、研究が一面的に終わらないように留意する。 ドイツにおいては引き続きブレーメンを拠点としながらケルン市立文書館も訪問しCRALOG関連文書の掘り起こしを行うとともに、戦後混乱期の要援護層の動向と福祉施策の推移に関わる資料の収集を行う。また、社会福祉学の研究者、ドイツ史の研究者等と情報交換、意見交換の機会をもち、国による差異をふまえた分析と検討の枠組みの考案につなげる。 韓国においては初年度に形成した社会福祉館、福祉財団との関係を活かし、継続的な訪問を通じて資料等を閲覧及び撮影するとともに、他施設等が保存する戦後混乱期の文書等の掘り起こしを行う。また、社会福祉学の研究者と情報交換、意見交換の機会をもつ。
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