研究課題/領域番号 |
23KK0049
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘道 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 教授 (30400790)
|
研究分担者 |
山本 昌宏 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50182647)
奈良 高明 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (80353423)
劉 逸侃 京都大学, 理学研究科, 准教授 (70773084)
高瀬 裕志 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (60963204)
|
研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2027年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 非線形粘弾性体 / 時間分数階微分方程式 / 逆問題 / inverse source problem / inverse obstacle problem |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、検知技術の革新のための逆問題理論を構築し、理論的再構成法に裏打ちされた数値解析手法を開発することで、非破壊検査や医療画像や環境問題のような現実の問題へと応用する。具体的には、inverse source problemやinverse obstacle problemに関する以下の3つの研究課題に取り組む。 研究課題A:弾性構造物の欠陥の検出 研究課題B:汚染物質の発生源(移動する場合も含む)の位置の検出 研究課題C:人体内部の電気・機械特性異常部位の検出 課題解決のために、研究代表者を中心とする日本側研究者がフランスとオーストリアの3つの海外研究機関に滞在し、共同研究を行う。
|
研究実績の概要 |
検知技術の革新のための逆問題理論をテーマとして、令和5年度には主に以下の研究活動を行った。 歪みが応力の履歴で表現される準線形粘弾性体の数理モデルを考察した。この構成則は、弾性率が機械的圧力(平均垂直応力)に依存していること、歪みが小さく保たれるように機械的圧力に応じた閾値を導入していること、さらにクリープ関数を核にもつヴォルテラ型のたたみ込み演算子を作用させることで表される。この数理モデルにおける境界値問題の解の存在を極大単調グラフの理論を用いて示した。また、単調な荷重に対するこのモデルの解の挙動を数値的に解析した。この研究成果はV.A.Kovtunenko氏(University of Graz)とK.R.Rajagopal氏(Texas A&M University)との共著論文として国際専門雑誌に発表した。 また、多項式タイプの非線形項を持つ半線形時間分数階の拡散方程式について、斉次ノイマン境界条件と正の初期値を課した初期値境界値問題を考察した。その結果、非線形項の次数に応じて、有限時刻での解の爆発が起きることや時間的大域解の存在を示した。本研究成果はG. Floridia氏(Sapienza University of Rome)、劉逸侃氏(京都大学)、山本昌宏氏(東京大学)の共著論文として国際専門誌に発表された。 さらに、これらの粘弾性体や時間分数階の微分方程式に関する得られた研究成果の逆問題(inverse source problemやinverse obstacle problem)への応用を考察し、令和6年度以降の国際共同研究計画を立てた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度には、準線形粘弾性体モデルの研究成果が得られ、その逆問題への発展の見通しもたてられている。また、半線形時間分数階の拡散方程式についての成果も得られ逆問題への応用の準備がなされた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も概ね当初の研究計画通りに進めていく予定である。令和6年度には、研究分担者や研究協力者の協力の下、国際研究集会におけるミニシンポジウムにおいて国際共同研究の進捗状況を確認し、新しい逆問題理論の構築に向けて研究を進展させていきたい。
|