| 研究課題/領域番号 |
23KK0052
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| 研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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| 研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小濱 芳允 東京大学, 物性研究所, 准教授 (90447524)
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| 研究分担者 |
木俣 基 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所, 研究副主幹 (20462517)
杉浦 栞理 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20869052)
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| 研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2026年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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| キーワード | 熱伝導 / 熱電効果 / 技術開発 / パルス磁場 / 定常強磁場 |
| 研究開始時の研究の概要 |
強磁場および極低温を組み合わせた複合極限環境では,多彩な磁場誘起現象が発現しうる.しかし複合極限環境における実験的研究は困難で, 極限的な強磁場・低温環境は人類未踏の研究領域であった.本研究では, 研究代表者と10年以上共同研究を進めてきたフランスの研究グループに複数回にわたって滞在し,60 T・100 mKまでの極限環境で熱伝導・熱ホール,ゼーベック・ネルンスト効果,磁気熱量効果等の多岐に渡る熱測定技術を開発する.研究分担者や研究協力者らも随時参加し,各々で極限環境での装置開発を進めるとともに,開発した技術を用いて現代の物性物理学の中心的トピックスである磁場誘起現象の解明を目指す.
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| 研究実績の概要 |
2024年度の第一の目標はChirstophe博士の本拠地であるグルノーブルと小濱・木俣・杉浦の本拠地である日本の強磁場施設(物性研・東北大)間で強固な研究ネットワークを築き上げることである。この研究目標を達成するために、小濱・木俣はグルノーブルにそれぞれ1ヶ月・1週間滞在し、またChristophe博士も小濱の物性研、木俣・杉浦の東北大にそれぞれ5週間・2週間滞在した。また小濱の博士課程学生もグルノーブルに1か月間滞在し、Christophe博士の共同研究者であるフランス人博士課程学生も物性研に1ヶ月間滞在した。さらに小濱はグルノーブルで博士号を取った特任研究員を含む2名の外国人特任研究員を雇用した。これは長期的なグルノーブルと日本の研究交流体制を築いたことを意味する。 2024年度のもう一つの目標は、前年度までに開発した強磁場熱測定系を、Christophe博士の本拠地であるグルノーブル、小濱・木俣・杉浦の本拠地である日本の強磁場施設で応用し、興味のある物質の強磁場熱物性を解明することであった。この目標に沿う形で、近藤半導体YbB12では比熱による電荷のないフェルミ粒子を検出し、パルス強磁場比熱測定では多極子秩序を示すCeCoSiの状態密度を決定し、そしてスピンアイス化合物Ho2Ti2O7では強磁場における磁化およびエントロピー変化を報告した。 2024年度は今後の研究を見越した技術開発・情報交換も進めており、グルノーブルにおいてC. Marcenat博士、I. Shekin博士、D. Braithwaite博士らと共同で、周期的温度変調法による熱拡散率・AC磁化の測定、低温用2軸回転プローブ、定常強磁場で利用可能な断熱セルの開発などについてノウハウの相互共有を進めた。これらの開発・情報交換により2025年度以降の共同研究がさらに活発になると見込まれる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、グルノーブルと日本の強磁場研究グループの間で積極的な交流を行い、強固な研究ネットワークを構築することが第1の目標である。そして同時に、グルノーブルと日本の強磁場グループで個別に確立した先端的な計測技術を組み合わせ、真に世界トップクラスの研究設備を確立し、現代の物性物理学の中心的トピックスの解明を目指している。 研究ネットワークの構築のために、小濱は1か月間グルノーブルに訪問しトポロジカル半導体の熱測定による量子振動測定・および新たなAC磁化測定手法の構築を行った。小濱の博士課程の学生であった松山もグルノーブルに約1か月滞在し、スキルミオン物質の熱測定を進めた。木俣も一週間弱グルノーブルに滞在し、木俣の持つ技術である2軸回転プローブの構築を進めた。そしてChristophe博士も約2か月間にわたり小濱の本拠地であるISSPと木俣・杉浦の本拠地である金属材料研究所に滞在した。さらに博士課程の学生であるJeremy氏も小濱の本拠地であるISSPに1か月間滞在し、共同研究を進めた。小濱はグルノーブルとの共同研究体制を加速するために、外国人特任研究員を2名雇用した。 グルノーブルは交流法による比熱測定が盛んである。この技術を応用し、小濱らにより交流法による熱拡散率およびAC磁化測定のテスト測定を執り行った。さらには木俣らにより、低温用二軸回転プローブの知識を共有し、これをグルノーブルで導入した。これらの装置開発および知識の交流は、次年度以降の物性研究に応用可能と考えられ、研究活動の裾野を拡大できる状況となった。 今年度は、磁場で誘起される現象として、YbB12における電荷のないフェルミ粒子の比熱による検出に成功し、それを報告した。他にも交流の結果高められた熱測定技術により、スピンアイス化合物や多極子秩序物質における強磁場熱物性が明らかとなった。
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| 今後の研究の推進方策 |
2025年度も引き続き、グルノーブルと日本の強磁場グループとの共同研究体制の確立に尽力し、研究ネットワーク強化を図る。既に、小濱および小濱の外国人特任研究員は強磁場施設のマシンタイムに合わせてグルノーブルへの1ヶ月程度の滞在をそれぞれ予定している。このグルノーブルでの滞在期間中は、共同構築した強磁場熱測定系により、トポロジカル半導体の強磁場物性の解明を進める。さらに木俣は、自身が開発した低温用2軸回転プローブを用いたグルノーブルでの研究や、圧力・磁場下での応用、そして同プローブを使った強磁場測定の施行を計画している。これにより、重い電子系・トポロジカル半導体・量子磁性体と多岐に渡る物質群での研究計画を進める。同時にChristophe Marcenat博士およびIlya Sheikin博士、Daniel Braithwaite博士など、多くのフランス人共同研究者をによる日本での研究を引き続き誘致し、2国間の繋がりをより強固なものとしていく。この共同研究計画は、学生や若手研究者を含んだ頭脳循環を意味しており、日本の国際的な研究人材育成の観点からも重要と考えられる。 技術開発目標としては、当初の研究計画を完了すべく、熱拡散率もしくは熱電効果の測定手法の確立を目指す。この技術開発とも並行し、既に開発が終わった強磁場熱測定・2軸回転プローブを組み合わせた物性実験を強磁場・低温環境で進めていく。これらの共同研究により多くの物質系において物性研究の成果を獲得しつつ、更に拡大した国際共同研究基盤の確立を目指す。
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