研究課題/領域番号 |
23KK0053
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
比村 治彦 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (30311632)
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研究分担者 |
三瓶 明希夫 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (90379066)
河内 裕一 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (40966024)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2025年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 2流体平衡 / 磁化トロイダルプラズマ / 多面体マッハプローブ / 複合プローブ / 2流体平衡 / トカマク / RFP / 自己組織化 / 国際共同実験 |
研究開始時の研究の概要 |
超高温のドーナツ形状をしたプラズマの電磁流体的取り扱いの妥当性については不明点が多い。本研究では米国ウィスコンシン大学MST装置と、MST装置と同程度の装置サイズでプラズマ電流と温度が低い京都工芸繊維大学RELAX装置内に全く同じ複合プローブをインストールして、イオン速度場、電場、磁場の同時測定を試みる。そして、これら2つの装置から得られるデータを比較することで、2流体平衡状態の存在の可否のランキスト数(核融合プラズマ分野では、抵抗性の程度を表す)依存性について明らかにする。そして、本海外連携研究から得る知見を国際共著論文として発表し、先進プラズマ物理学のフロンティアの開拓に貢献する。
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研究実績の概要 |
磁化トロイダルプラズマが平衡状態に入っている時、その密度領域から計算されるイオンスキン長がプラズマ特性長と同程度まで引き延ばされる領域では、その磁化トロイダルプラズマに対する一般化されたオームの法則(電子の運動方程式)にはホールターム等の項が含まれる。この理論的予測を実験的に検証するために、本研究ではイオン速度場を3次元測定できる新型多面体マッハプローブを中央に配置し、その多面体マッハプローブの周りに磁気プローブアレイとキャパシティブプローブアレイが配置された複合プローブが開発された。この複合プローブの先端位置にはラングミュア―プローブも取り付けられており、原理的に先に述べた一般化されたオームの法則の全項を一度に測定することが可能である。このプローブのプロトタイプを実際に開発し、アメリカウィスコンシン大学マディソン校物理学科に設置されているMST実験装置で第一回目の実験を実施した。日本から複合プローブだけでなく、測定に必要な回路も先方に持参して実験を行った。運搬はプローブを各部品の状態に分解して、先方で組み立てる手順をとった。初期実験では複合プローブの幾つかの電極チップから信号を得ることはできたので原理的に動作すると判断された。しかしながら、MSTプラズマの熱負荷により、約半分の信号は電極チップの溶断や信号線の断線により未取得に終わった。この結果を踏まえて、令和6年度の春からさらに強固な複合プローブへと改造を行っている。初期結果で得られた結果は国際会議論文として学術雑誌に投稿している。さらに強固な複合プローブが完成次第、第2回目の国際共同実験をMST装置で実施するとともに、日本のRELAX装置でも同様の実験を実施する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究が採択されて4か月後に渡米し、第一回目の実験を実施することができた。のべ7人がかりで渡米し、先方から毎日2名ずつのサポート要員を得て、問題点の洗い出しを一挙に行うことができた。また、実験実施後にMSTから研究者を招聘して、日本でさらに強固な複合プローブの設計を共同で行うこともできた。得られた初期結果を基にした国際共著論文を国際会議プロシーディングスにまで投稿できたことも予定以上の進展である。かなりタイトなスケジュールで国際共同実験を実施したことは事実だが、無理をして実施したことでその後の課題をすべて明らかにすることができた。令和6年度の実験で本課題の答えを出せる可能性もあり、当初の計画以上に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
第一回実験で明らかになった点は複合プローブにかかる熱負荷の問題である。また、多面体プローブをはじめとする信号線の太さが細いことにより、信号線の抵抗と強度にも不具合があることが判明した。さらには、プローブの信号取り出し用取り合い点がプローブを支えるシャフトと干渉することも判明した。これらのすべてについては、MSTから招へいした研究者との改良設計、および、研究代表者が2回にわたって実験後に渡米することで対処策を立てた。その対処策にしたがって、令和6年度の春から改良に取り組んでいる。このままの予定で進めば夏に改良型が完成するので、そのタイミングでアメリカウィスコンシン大学マディソン校物理学科MST装置での本実験を実施するつもりにしている。一方で、まったく同じ型のプローブをもう1セット製作して、それを日本のRELAX装置にインストールして実験を行う計画も立てている。本課題は令和6年度に見通しを得るように進めることができており、このスケジュールのまま推進する。
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