• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

高圧下におけるケイ酸塩マグマの粘性率・弾性率・密度の異常挙動の包括的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23KK0065
研究種目

国際共同研究加速基金(海外連携研究)

配分区分基金
審査区分 中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
研究機関愛媛大学

研究代表者

河野 義生  愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 准教授 (20452683)

研究分担者 村上 望 (近藤望)  岡山大学, 惑星物質研究所, 特任助教 (70824275)
大平 格  学習院大学, 理学部, 助教 (90873159)
研究期間 (年度) 2023-09-08 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
20,800千円 (直接経費: 16,000千円、間接経費: 4,800千円)
2027年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワードマグマ / 高圧 / 粘性 / 弾性 / 密度
研究開始時の研究の概要

高圧下におけるケイ酸塩メルトの粘性率・弾性率・密度の異常挙動の包括的理解は、地球内部の深さ80-150kmにおけるメルト層の形成とその状態・挙動の理解に重要である。本研究では、アメリカの放射光X線施設APSの16BMBビームラインにおいて、世界最先端の高圧下におけるメルトの複合物性測定技術を用いた国際共同研究を推進することにより、ケイ酸塩メルトの粘性率、P波速度、密度の圧力・温度・組成依存性を研究し、高圧高温下における粘性率・弾性率・密度の異常挙動の発現条件を解明することを目的とする。

研究実績の概要

本研究は、海外共同研究者であるRostislav Hrubiak博士と連携し、アメリカの放射光X線施設Advanced Photon Source(APS)の16BMBビームラインにおけるパリ-エジンバラ型高圧プレス装置と放射光X線測定を用いた、高圧下におけるマグマの物性測定研究を行うことを目的としている。APSは、2024年4月まではアップグレードによる停止期間のため、2023年度は愛媛大学での予備実験などの実験準備と日本の放射光X線施設SPring-8におけるメルトの構造測定、さらに、これまでの海外共同研究者との共同研究実験ですでに得られている実験結果のとりまとめと論文執筆を行った。
パリーエジンバラ型セルを用いた高圧高温下におけるメルト実験のための準備と予備実験を愛媛大学で行うとともに、SPring-8のBL05XUビームラインにおいて、高圧高温下におけるメルトの構造測定実験を行った。高圧かつ高温下で試料を溶融した状態で2時間以上の保持を行い、メルトのX線動径分布関数測定を行うことに成功した。そのため、APSでの物性測定についても、同じPEセルを使用することにより問題なくメルトの高圧高温実験が可能であると考えている。
また、海外共同研究者のHrubiak博士とは、これまでにも共同研究実験を多数行ってきており、それらデータのとりまとめと論文執筆も行った。研究分担者の近藤が中心となってAPSで行ったCaSiO3ガラスの高圧構造変化についての研究については、論文を執筆し、American Mineralogist誌に受理された(現在in press状態)。さらに、もう一人の研究分担者である大平が中心となり、CaAl2O4ガラスの構造測定、弾性波速度測定研究も行っており、それら実験についても結果の解析ととりまとめを行い、論文執筆を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、9月中旬に採択されてからの半年以下の研究期間であったため、主に実験準備・予備的実験と、さらに、これまでに海外共同研究者と行ってきた共同研究実験において得られたデータの解析、結果のとりまとめを中心に行った。2023年度の実験は、愛媛大学とSPring-8で行い、高圧高温下において、安定的にメルトの実験を行うことができることを確認した。そのため、APSでも同じセルを用いることにより問題なく実験を行うことができると考えており、2024年度にアメリカAPSの16BMBビームラインでの実験を行う準備ができている。
また、これまでにも海外共同研究者のRostislav Hrubiak博士とは多数の共同研究実験を行っており、それら実験データの解析と結果のとりまとめ、論文執筆も行った。その中でも、近藤が中心となって過去にAPSで行ったCaSiO3ガラスの高圧下構造測定研究の結果については、論文がAmerican Mineralogist誌に受理され、現在in pressとなっている。さらに、もう一人の共同研究者の大平についても、これまでHrubiak博士と共同でCaAl2O4ガラス、SiO2-Al2O3組成ガラスの構造測定、弾性波速度測定研究を行っている。2023年度は主にCaAl2O4ガラスについての実験結果の解析、結果のとりまとめと、論文執筆を行い、現在論文を投稿中である。このように、海外共同研究者のHrubiak博士との共同研究を基にした研究論文の発表を進めている。

今後の研究の推進方策

アメリカの放射光X線施設APSのアップグレードの経過報告によると、計画は順調に進んでおり、2024年度中に順次ビームラインでの放射光X線実験の再開が予定されている。本研究で使用する16BMBビームラインについての情報によると、ユーザー実験の再開は2025-1期(2025年2月―4月)を予定しているため、2025-1期に向けた研究課題の申請を行い、2024年度末の2025年2月―3月に16BMBビームラインで実験を行うことを計画している。2025-1期に申請する研究課題として、(1) Si/Al組成比の異なるケイ酸塩メルトの高圧下における粘性率挙動の研究、(2)高圧下におけるケイ酸塩メルトのP波速度測定の開発、の2課題を予定している。
また並行して、APSで物性測定を行うケイ酸塩メルト試料の高圧高温下の構造測定を日本の放射光X線施設SPring-8で行う予定である。近年、我々は、SPring-8において、高圧下その場でメルトの構造を精密に測定する新しい実験を開発している(Kono et al., 2024, Review of Scientific Instruments)。その最新の手法を用いることにより、ケイ酸塩メルトのアナログ物質であるSiO2ガラスにおいて、室温高圧下で発生する異常弾性挙動の構造的要因を実験的に明らかにすることに成功している(Kono et al., 2022, Nature Communications)。そのため、SPring-8におけるケイ酸塩メルト構造の精密解析と、APSにおけるケイ酸塩メルトの物性変化の研究を統合することにより、ケイ酸塩メルトの高圧高温下における異常物性挙動の包括的理解を目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)

  • [国際共同研究] Advanced Photon Source(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] <i>In situ</i> high-pressure pair distribution function measurement of liquid and glass by using 100?keV pink beam2024

    • 著者名/発表者名
      Kono Yoshio、Ohara Koji、Kondo Nozomi M.、Higo Yuji、Kakizawa Sho、Yumoto Hirokatsu、Koyama Takahisa、Yamazaki Hiroshi、Senba Yasunori、Ohashi Haruhiko、Inoue Ichiro、Hayashi Yujiro、Yabashi Makina
    • 雑誌名

      Review of Scientific Instruments

      巻: 95 号: 1 ページ: 013904-013904

    • DOI

      10.1063/5.0176975

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Strong effect of liquid Fe?S on elastic wave velocity of olivine aggregate: Implication for the low velocity anomaly at the base of the lunar mantle2023

    • 著者名/発表者名
      Kono Yoshio、Kuwahara Hideharu、Greaux Steeve、Rivers Mark L.、Wang Yanbin、Higo Yuji、Mitsu Keisuke、Kondo Nozomi
    • 雑誌名

      Earth and Planetary Science Letters

      巻: 618 ページ: 118287-118287

    • DOI

      10.1016/j.epsl.2023.118287

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著

URL: 

公開日: 2023-09-12   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi