研究課題/領域番号 |
23KK0072
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石黒 章夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90232280)
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研究分担者 |
安井 浩太郎 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (70876739)
加納 剛史 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80513069)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2026年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 即時適応能力 / 形態改変 / 制御原理 / モデルフリー制御 / サイボーグ化 / 水陸両用ロコモーション / 生物ロコモーション / 運動制御原理 / 自律分散制御 / 汎動物種的制御原理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,水陸両用ロコモーションというユニークな切り口から研究を行ってきた日本とカナダの二拠点がチームを組み,これまでそれぞれが独自に進めてきたムカデとポリプテルスが示す水陸両用ロコモーションを俯瞰的な視座から眺めることを通して,さらなる理解の深化と新展開を試みるものである.具体的には,サイボーグ化といった新奇な着想に基づく「人為的形態改変実験」を導入することにより,形態やロコモーション様式に非依存な,普遍性の高い即時適応的な運動制御原理の本質を炙り出し,革新的な新概念モデルフリー制御法の創成への道を切り拓く.
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研究実績の概要 |
2024年2月18日から3月2日にかけて,石黒(研究代表)と安井(研究分担者)の2名が海外共同研究者であるカナダ・オタワ大学のStanden教授の研究室を訪問し,動物に内在する形態非依存の普遍的な運動制御原理の抽出についての議論を行った.今回の滞在中は,今後の研究の進め方に関する議論と,魚類を使った形態改変に関する予備的な実験を行うことを主目的とした.予備実験の具体的内容は,ポリプテルスとロープフィッシュと呼ばれる2種類の魚類を用い,身体側面にシリコンゴムと布で作成した人工的なヒレ状突起物(以下,人工ヒレと呼ぶ)を複数個装着した場合に,遊泳様式がどのように変化するのかを観察することである.実験の結果,人工ヒレを装着した場合には,体幹に生じる屈曲波の波数が,装着していない場合とは異なる遊泳様式を発現する可能性が見えてきた.このことは,動物には形態が変化しても即時適応的に対応しうる能力が内在していることを示唆しており,本研究の作業仮説と整合する.しかしながら一方で,装着した人工ヒレはすぐに外れてしまい,また可変形性が高いため,安定した行動実験結果が得られないという問題点も明らかになった.安定した行動実験結果を得るための人工ヒレの構築ならびに装着技法の考案は喫緊の課題であることが理解できた.このように動物を用いた形態改変実験には多くの課題があることがわかったが,海外共同研究者との間で研究目的と課題の共有が行われ,今後の共同研究の進め方について深い議論ができたことは大きな収穫であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の予備的実験において,ポリプテルスとロープフィッシュという二種類の魚類に人工ヒレを装着した場合には未装着時と比べて遊泳様式が変化する兆候が観察された.さらに,細長い身体を持つロープフィッシュの方が実験動物として適している可能性があることもわかった.しかしながら,人工ヒレの材質と装着方法には多くの問題を抱えていることも明らかになったのも事実である.本実験は世界で初めての試みであり,再現性が高い結果を獲得することが今後の課題である.
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果を踏まえ,次年度では形態改変実験の実施方法,特に人工ヒレの材質と装具,そして装着方法の改善は喫緊の課題である.次年度では,これらの再検討を第一に行いたい.一方,ムカデを使った動物実験に関しては,オタワ大学では行うのは困難であることがわかった.そこで,ムカデの実験は,Standen教授が東北大学に滞在して実験と議論を行うという方針が決まった.一方,魚類を用いた実験に関しては,石黒と安井が次年度中に2回ほどオタワ大学を訪問して実験する予定である.さらに,形態改変にロバストな適応能力の本質を紐解くために,無脊椎動物を用いた侵襲的な実験(電気生理学的実験など)を行うことも検討することになった.
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