研究課題/領域番号 |
23KK0086
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷山 智康 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10302960)
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研究分担者 |
小森 祥央 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (00880113)
井村 敬一郎 名古屋大学, 教養教育院, 講師 (10444374)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 磁性 / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
磁気モーメントの歳差運動が空間を伝播する一形態としてスピン波が広く知られている。スピン波コンピューティングデバイスなどにおいてスピン波を情報伝送媒体として利用するためには、スピン波を長距離に渡り伝播させることが可能な強磁性材料の開発が必須となる。本研究では、スピン波の長距離伝播を実現する強磁性材料をデザインするための包括的な指針を構築し、その設計指針に基づいて強磁性スピン波材料を創出することで、スピン波の長距離伝播の実証までを目的とする。より具体的には、状態密度と磁気異方性を変調した磁性酸化物薄膜のスピン波伝播長の精密計測を通して、スピン波減衰の物理機構を解明し、上記の目的を達成を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、スピン波の長距離伝播を可能とする強磁性スピン波材料をデザインするための指針を構築することを第一の目標としている。本年度は、マンガン酸化物薄膜に焦点を当て、スピン波の伝播長を特徴づけるGilbertダンピング定数の温度依存性を強磁性共鳴により評価した。以下に具体的な研究実績を記す。 (1)YAGレーザーを用いて成膜したマンガン酸化物薄膜のGilbertダンピング定数の評価 La1-xSrxMnO3薄膜(x=0.37-0.5)をYAGレーザーを用いたパルスレーザー堆積法により成長し、X線逆格子マッピングによりエピタキシャル成長を確認した。作製した種々のSr組成の試料に対して強磁性共鳴のスペクトル線幅の共鳴周波数依存性からダンピング定数を算出した。x=0.37の試料では、温度の低下に伴って単調にダンピング定数が増大するのに対して、x=0.45の試料では、150 K付近にダンピング定数の極小が観測され、さらにx=0.5の試料ではその傾向が顕著となり、100 Kにおいて極めて小さなダンピング定数が現れることが見出された。このダンピング定数の極小は100 K以下で発現する新たな強磁性相に起因することが示された。さらに、マンガン酸化物薄膜を用いたスピン波デバイスの作製とスピン波伝播の計測にも成功した。 (2)エキシマレーザーを用いたマンガン酸化物薄膜成長 YAGレーザーを用いたパルスレーザー堆積法では、ドロップレットと呼ばれる粒子が薄膜に含まれ、それらがダンピング定数に大きな影響を与える可能性がある。そのため、研究代表者と分担者がHyderabad大学を訪問し、エキシマレーザーを用いたマンガン酸化物薄膜成長を実施した。その結果、ドロップレットのない薄膜を成長することに成功した。しかしながら、成膜した薄膜の結晶性や磁気特性はダンピング定数を評価するためには十分でなく、次年度以降継続して薄膜の品質向上のための成膜条件の精査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、パルスレーザー堆積法によってマンガン酸化物薄膜を成膜し、スピン波デバイスを作製することまでを予定していたが、本年度は予定を前倒しし、スピン波検出を行い、スピン波の検出手法を確立することまで実施することができた。また、強磁性共鳴測定では、当初想定していなかったGlbertダンピング定数の特徴的な温度依存性と極めて小さなダンピング定数を見出すことにも成功した。一方で、Hyderabad大学と共同で実施するエキシマレーザーを用いたマンガン酸化物薄膜の成長に関しては、スピン波デバイスの作製に用いられるに十分な磁気特性をもつような薄膜を成長することはできなかった。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に見出したGilbertダンピング定数の温度依存性は、スピン波の長距離伝播を実現可能な強磁性材料を設計する上で重要な知見を与えると考えられる。したがって、2024年度は、さらにこのダンピング定数の温度依存性の物理起源の解明を目指す。また、当初計画していた磁気異方性とダンピング定数との相関についての知見の集約を行う。さらに、2023年度にHyderabad大学で実施したエキシマレーザーを用いた薄膜成長の成長条件の精査さらに進めることで、スピン波デバイスに適用できるマンガン酸化物薄膜を作製し、ドロップレットとダンピング定数との相関についての知見を収集する。
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