研究課題/領域番号 |
23KK0088
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
水口 佳一 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (50609865)
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研究分担者 |
志賀 拓麿 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (10730088)
松本 凌 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 研究員 (10883960)
寺嶋 健成 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (20551518)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2027年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 超伝導 / 異常熱膨張 / 高圧効果 / X線回折 / 熱電変換材料 / 負の熱膨張 / 局所構造解析 / 機能性材料 |
研究開始時の研究の概要 |
最近発見された異常熱膨張超伝導体TrZr2を出発点とし,遷移金属ジルコナイド系における異常熱膨張発現機構を解明することを目指す.物質合成および物性評価・高圧実験・理論計算を専門とする国内研究者と,局所構造解析を専門とするローマ大学のProf. Sainiが,機構解明に向けた共同研究を推進する.期待される成果として,体積熱膨張を示さない新たな機能性材料が創出される.研究期間内に,研究代表者および大学院生等,NIMSの若手研究者である松本がローマでの実験に参加することで,若手育成および国際共同研究強化が実現する.
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研究実績の概要 |
本研究は2022年に研究代表者らが発見したCoZr2超伝導体における異方的熱膨張(正方晶のa軸は正の熱膨張を示し,c軸は負の熱膨張を示す)から着想を得たもので,類似の遷移金属ジルコナイド物質群においてゼロ体積熱膨張を示す超伝導や熱電材料を開発することを目指す課題である. 2023年度の研究では,SPring-8の放射光とダイヤモンドアンビルセルを用いて,CoZr2に高圧を印加した状態で熱膨張係数(a軸,c軸,体積)を測定したところ,a軸の正の熱膨張が抑制され,一方c軸の負の熱膨張は大きな絶対値を保った.本実験は室温から450 Kまでの間で行った.その結果,体積熱膨張が負に転じ,ゼロに近い値を取った.CoZr2系の熱膨張係数は幅広い温度域でほぼ変化しない特徴があるため,低温から高温まで同様の小さな負の体積熱膨張がみられる可能性が高い.本成果はAdv. Electron. Mater.誌に掲載された.今後は,単結晶を用いた低温での熱膨張測定や常圧での体積ゼロ熱膨張の実現を目指して,物性研究を展開する. インバー熱電材料開発に関しても実験を開始し,遷移金属とジルコニウムを含む熱電材料として,ホイスラー系の合成と熱膨張係数を開始した. 研究体制に関して,キックオフ会議を行い,高圧実験,機械学習,フォノン計算の役割分担を行った.また,研究代表者がイタリアのElettraおよびローマ大学を訪問した.今後の研究展開として,ゼロ体積熱膨張実現のための局所構造評価が必須となるため,高圧下EXAFSなどの研究打ち合わせも行った.トルコの研究チームとの共同研究(理論計算)も開始し,イタリア・トルコおよび関連する共同研究者を招いた国際ワークショップ(2024年9月)を都立大で行う計画を立てた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高圧下ではあるが目的としていたインバー超伝導体に近い体積熱膨張を実現することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
CoZr2で行った高圧下放射光X線回折を他の遷移金属ジルコナイドNiZr2やRhZr2でも行い,遷移金属の違いによって体積熱膨張係数がどのように変化するかを明らかにする.それによって,より低圧で,さらには常圧で負またはゼロ体積熱膨張を示す物質の開発につなげる. 放射光を用いた実験は実施できる回数が限られており,SPring-8だけでなくイタリアElettraでも同様の実験を行えるように検討を続ける. 機械学習による物質予測も開始しており,そのモデル精度をあげ,上記の目的を達成できる組成を特定する. フォノン計算および低温物性評価を行うことで,どのようなフォノンが遷移金属ジルコナイドの異常熱膨張の起源かを解明する.具体的な物性測定は比熱測定と中性子非弾性散乱を想定しており,単結晶育成を含めた準備を開始する.
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