研究課題/領域番号 |
23KK0099
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
辻 勇人 神奈川大学, 理学部, 教授 (20346050)
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研究分担者 |
山岸 洋 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40824678)
橋本 征奈 神奈川大学, 化学生命学部, 助教 (30824932)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,410千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 4,710千円)
2026年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2025年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 有機レーザー / 発光性有機分子 / 自己組織化 / 分子集合体 / レーザー / π共役系有機化合物 / 結晶・超分子 / 分光分析 / 構造制御 |
研究開始時の研究の概要 |
有機レーザーは次世代光源技術として注目されている。本研究では、COPVと名付けた独自開発の炭化水素分子を基盤として、分子構造、集合体・超分子構造、デバイスの界面構造という各階層における構造を精密に制御するという空間的アプローチに加えて、フェムト秒からナノ秒という極短時間におけるプロセスを理解・制御するという時間的アプローチを併せることで、優れた有機レーザー材料の構造-機能相関を解明し、優れた材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
初年度である2023年度後期の半年間の研究期間では、日本側の各グループにおける物質および技術開発ならびにグループ間での連携の方向性についての確認を行った。 研究代表者の辻グループでは、発光性有機分子の創製と集合体形成技術について検討した。新たなσ-π共役系分子を創製し、Diaz-Garcia教授グループとの共同研究によって、有機レーザーの性能向上を達成した。また、円偏光レーザーへの応用を目指して、発光量子収率95%以上の高発光特性と10の-3乗台の非対称係数(g値)をもつ円偏光発光(CPL)ポリマーの開発にも成功した。集合体形成に関しては、水とテトラヒドロフラン(THF)混合溶液中における発光分子の凝集体について、中性子小角散乱、広角X線散乱、動的光散乱等を用いた構造解析を行った。その結果、水-THF混合比を様々に変化させた際の発光分子の凝集構造の解明および混合比変化がもたらす構造変化のメカニズムについて明確化した。さらに、凝集構造と光物性との相関についても明らかにした。 研究分担者の山岸グループでは、有機材料を自己組織化的に凝集させ微小光共振器を構築する技術の開発を推し進めた。すでに素子化技術を開発しているπ共役系高分子に加えて、ポリ乳酸やケラチンといった生体適合性高分子、生体高分子を素子化する技術の開発で一定度の成果が得られている。また、円偏光発光の角度異方性をより向上させる技術の開発に成功している。 研究分担者の橋本グループでは、辻グループで開発した超高効率発光分子の液相中での励起状態における電子状態の動的過程計測を行った。その結果、励起状態での構造変化が、約50フェムト秒で進行すること、発光準位の寿命が2nsであることが示された。現在、励起直後の分子構造変化を解明するために、励起状態における分子振動状態の動的過程解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各グループにて研究遂行上重要な新物質および新技術の開発が進んでいる点が主な理由として挙げられる。海外共同研究者との共同研究成果についても論文を執筆中であり、国内の研究グループ間での連携も開始している点も鑑みて、半年間の研究期間で順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
日本側研究グループとして今後は、理論に基づく合理的設計をもとに光励起型レーザーの低光エネルギー駆動に必要な分子および集合体構造の構築を目指す。高効率発光材料創製のために、剛直平面π共役炭化水素分子だけでなく、ヘテロ元素を含む分子やポリマー等も検討対象とし、構造-機能相関に関する原理の検証を通じて構造の最適化を図る。また、自己組織化技術の高度化も図り、高度な光機能を持つ有機分子の素子化に挑戦する。特に、優れたモル吸光係数・発光量子収率を持つ有機分子を高精度に素子化する技術の開発に注力することで、より低いエネルギーで駆動する光励起型レーザーを実現する道筋とする。橋本グループでは装置を改良し、固相中での動的過程計測を行う予定である。
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