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根粒共生の起源を探る:原始的根粒共生を司る根粒菌エフェクターの機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KK0108
研究種目

国際共同研究加速基金(海外連携研究)

配分区分基金
審査区分 中区分38:農芸化学およびその関連分野
研究機関東京農工大学

研究代表者

岡崎 伸  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40379285)

研究分担者 ラトゥ サフィラタサナーバス  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任助教 (00985004)
蘭 正人  岩手大学, 農学部, 特任研究員 (10984073)
佐藤 修正  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70370921)
下田 宜司  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (80415455)
研究期間 (年度) 2023-09-08 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2026年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
キーワード根粒菌 / エフェクター / マメ科植物 / ダイズ / III型分泌系 / 共生 / クサネム / 根粒共生
研究開始時の研究の概要

マメ科植物と根粒菌の根粒共生には、根粒菌が分泌するNod factor(NF)が必須であると長い間考えられてきた。しかし、申請者らとフランスのGiraud博士のグループは、ダイズ根粒菌のエフェクターBel2-5と、クサネム根粒菌のエフェクターErnAが、NFを介さずに根粒形成することを発見した。さらに、エフェクターによる根粒形成では、NFを介する根粒形成にみられる根毛感染は認められず、進化的に古い感染が観察されている。本研究では、根粒菌エフェクターとその共生シグナル活性化機構を解析することで、エフェクターによる根粒共生の分子基盤を解明し、根粒共生の起源を探る。

研究実績の概要

1. 根粒形成エフェクターの網羅的スクリーニング・・・共同研究者であるフランスのGiraud博士の研究室が所有する世界各地の多様なマメ科植物から単離された根粒菌30株ほどについてダイズnfr変異体に接種し、根粒形成する株をスクリーニングした。その結果、Bradyrhizobium属の根粒菌1株がダイズnfr変異体に根粒形成することを発見した。Giraud博士らによるゲノム解析により、この根粒菌株には既知の根粒形成エフェクターBel2-5、ErnAどちらも存在しないことが明らかになっており、この根粒菌が新規エフェクターを保持している可能性が示唆された。
2. ダイズ根粒菌/クサネム根粒菌エフェクターの共通性/差異性の解析・・・Bel2-5とErnAはダイズとクサネムにそれぞれ根粒形成を誘導するが相同性は低い。それぞれのエフェクターが宿主特異的に根粒形成誘導するのか、もしくは交換可能なのかを調べるために、エフェクターを入れ替えた根粒菌変異株を作成して根粒形成試験を行った。その結果、Bel2-5はクサネムに未発達の根粒を誘導することが判明した。一方、ErnAはダイズに根粒形成を誘導しなかったことから、それぞれのエフェクターは宿主特異的に機能する可能性が示唆された。
3. エフェクター発現植物の根粒形成誘導・・・それぞれのエフェクターが異種宿主において根粒形成を誘導するかを検証するため、ダイズ根においてエフェクターを発現する形質転換毛状根を作出し、その根粒形成能を検討した。クサネムにおいては、Giraud博士らによる研究でエフェクターErnAを発現させることにより、根に皮層細胞分裂と根粒形成が誘導されることが明らかとなった。一方、ダイズにおいては、Bel2-5を発現させることにより、毛状根の発根と伸長が著しく抑制されることが見出され、今回の実験条件ではBel2-5による細胞分裂などへの悪影響が強く発現したことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Giraud博士との共同研究により、nfr変異体ダイズに根粒を形成する根粒菌を新たに1株発見することができた。この根粒菌株はBel2-5を保持していないことが示唆されており、新規エフェクターを保持している可能性が高い。今後の解析により新規根粒形成エフェクターの発見にいたる可能性も高いことから、順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今回あたらしく発見したnfr変異ダイズに根粒形成する株については、Giraud博士と共同でエフェクター候補遺伝子の検、および遺伝子破壊株の作成を行い、nfr変異ダイズに接種することで根粒形成エフェクターであることを証明する。また、エフェクター遺伝子を発現する形質転換植物の作成については、クサネムとエフェクターErnAでは根に皮層細胞分裂と根粒形成が誘導されることが示されたが、ダイズにおいては、Bel2-5を発現させることにより、毛状根の発根と伸長が著しく抑制されることが明らかとなった。Bel2-5の発現に用いたユビキチンプロモーターが強すぎた可能性もあるため、今後は低発現プロモーターや誘導性プロモーターの利用も検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] フランス農業開発研究国際協力センター(フランス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Widespread <i>Bradyrhizobium</i> distribution of diverse Type III effectors that trigger legume nodulation in the absence of Nod factor2023

    • 著者名/発表者名
      Camuel, A., Teulet, A., Carcagno, M. Haq, F., Pacquit, V., Gully, D., Pervent, M., Chaintreuil, C., Fardoux, J., Horta-Araujo, N., Okazaki, S., Ratu, S., Gueye, F., Zilli, J., Nouwen, N., Arrighi, J.F., Luo, H., Mergaert, P., Deslandes, L., Giraud, E.
    • 雑誌名

      The ISME Journal

      巻: 17 号: 9 ページ: 1416-1429

    • DOI

      10.1038/s41396-023-01458-1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Symbiotic roles of rhizobial type III effectors2024

    • 著者名/発表者名
      OKAZAKI SHIN
    • 学会等名
      The 6th Asian-Pacific Conference on Plant-Microbe Symbiosis and Nitrogen Fixation
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Unveiling a novel paradigm in Bradyrhizobium strains triggering NF- independent nodulation in soybean2024

    • 著者名/発表者名
      Safirah Tasa Nerves Ratu, Shogo Fukunaga, and Shin Okazaki
    • 学会等名
      The 6th Asian-Pacific Conference on Plant-Microbe Symbiosis and Nitrogen Fixation
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Nod-factor independent symbiotic phenomena and symbiotic inhibition factor of Bradyrhizobium and Aeschynomene genus2024

    • 著者名/発表者名
      Shogo Fukunaga, Shun Hashimoto, Shusei Sato, Shin Okazaki
    • 学会等名
      The 6th Asian-Pacific Conference on Plant-Microbe Symbiosis and Nitrogen Fixation
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Type three secretion system (T3SS) of Bradyrhizobium elkanii USDA61 restricts nitrogen-fixation efficiency in Lupinus spp.2023

    • 著者名/発表者名
      Safirah Tasa Nerves Ratu, Lidia Amelia, Shin Okazaki
    • 学会等名
      The 36th Conference of the Japan Society for Microbial Ecology and the 13th Asian Symposium on Microbial Ecology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Nod-factor independent symbiotic phenomena and symbiotic inhibition factor of Bradyrhizobium and Aeschynomene genus2023

    • 著者名/発表者名
      Shogo Fukunaga, Shun Hashimoto, Shusei Sato, Shin Okazaki
    • 学会等名
      The 36th Conference of the Japan Society for Microbial Ecology and the 13th Asian Symposium on Microbial Ecology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-09-12   更新日: 2024-12-25  

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