研究課題/領域番号 |
23KK0112
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
江原 宏 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10232969)
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研究分担者 |
礒井 俊行 名城大学, 農学部, 教授 (30211733)
内藤 整 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 教授 (40252902)
三島 隆 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (40314140)
浅野 航輝 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 客員研究員 (50980489)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2027年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 育苗 / 実生 / 発芽 / 栄養繁殖 / 健全苗 / 菌根菌 / 窒素固定菌 / サゴヤシ / 環境適応生 / 実生苗 / 有用微生物 / SDGs |
研究開始時の研究の概要 |
澱粉資源植物サゴヤシは,不良環境に適応し,食用澱粉の生産,アレルギー対応食品の製造,バイオ燃料の原料として期待される一方,withコロナのニューノーマル社会やSDGsで需要が高まっている。本研究は,主に自然林から収穫していた本種に,資源維持のコンセプトを導入し,積極的な新植で増産を図り,持続的プランテーション農業技術の実践に貢献する。具体的には [1] 難発芽種子の発芽勢改善による実生育成,[2] 実生苗への窒素固定菌,アーバスキュラー菌根菌の接種による生育促進技術開発,[3] 吸枝移植では,2年後には40%以上が枯死する実情を改善するため,バイオコントロール技術の導入による生存率向上を図る。
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研究実績の概要 |
本研究では,次の3項目のテーマについて,それぞれ3ないし4の小項目を設定し,5年間で順次調査解析を進める計画である。 1) 難発芽種子の発芽勢改善による実生育成技術を確立;2) 移植苗への窒素固定菌,アーバスキュラー菌根菌の接種による生育促進;3) バイオコントロール技術の導入によるタケノコ状吸枝の生存率向上 2023年下半期よりスタートした初年度からこれまで,プロジェクトサイトにおける雨季から乾季,乾季から雨季への移行が気候変動の影響を受けて例年と異なっていたことを鑑み,一部では二年次以降の計画を前倒しで取り組み,当初の初年次計画の一部を繰延など適宜の工夫を加えながら計画を改善,着手,以下に示すように進行させることができている。 小項目1-3:インドネシア・パプア州で得た有刺タイプ民俗変種の果実より果皮,肉質種皮を除去する処理によって発芽種子を得た。保存方法と発芽勢,発芽率との関係について解析を行っている。種子包被組織除去の処理方法と調査経過から,胚の上部に位置する果皮・肉質種皮が物理的に胚を蓋っているだけでなく,胚上部に位置する,とくに果皮に含まれる発芽抑制物質が種子発芽を規定していることが窺われている。 小項目 2-1,2-4:現地プランテーション内において,まず,インドネシアにおける普及型の菌根菌資材を複数用いて,採取したサッカー(吸枝 きゅうし:地下茎の一部が地上に現れた若芽)に接種,ポリ苗バックを用いることで,従来のサッカー深水育苗と異なる,低水位での豊水土耕育苗を採用している。一定の育苗行き間を経た後に,本圃への移植時に再度の菌根菌接種も実施する,同様に日本の普及型資材を用いて,実生苗に接種する連絡試験を国内でも実施している。 小項目3-3:現地試験地で木灰を用意し,採取したサッカーの切断面に処理して育苗を開始,成育追跡調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,2023年の下半期に開始,主なプロジェクトサイトとなっているリアウ州の島嶼部において,雨季から乾季,乾季から雨季への移行が気候変動の影響が生じている。2024年の乾季に入ってからも豪雨が長時間にわたるなどの影響を少なからず受けている,そこで,二年次以降の計画について一部について前倒しで着手し,それに対して当初の初年次計画の一部については繰延を行うなど,適宜,工夫を加えながら計画を改善して,取り組んでいる。各項目の小課題について前項のような進行状況であり,おおむね順調に進呈しているといえる。 分担研究者が日本熱帯農業学会ヤングサイエンティスト賞を受賞した(浅野航輝「サゴヤシの養分応答,アーバスキュラー菌根菌との共生関係に関する研究」2024年3月)。
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今後の研究の推進方策 |
次の3項目,1) 難発芽種子の発芽勢改善による実生育成技術を確立,2) 移植苗への窒素固定菌,アーバスキュラー菌根菌の接種による生育促進,3) バイオコントロール技術の導入によるタケノコ状吸枝の生存率向上,のそれぞれの下に小項目を以下のように設けており,随時,現地の環境を考慮しながら推進する。 1-1) 稔性種子生産に向けたポリネータ動向調査,有核果実からの種子を用いた実生生産;1-2) 人工授粉技術採用(ポリネータ定花性を考慮して異なる樹々の両性花に受粉,受粉相性を調査して推進);1-3) 高発芽率を維持する種子保存方法確立(発芽率を維持しつつ保管期間を確保する条件を調査) 2-1)実生苗に市販の有用微生物資材を接種,実生の形態的変化,光合成能を評価;2-2)土着の有用微生物種の群集解析,選抜,培養(次世代シーケンサーを用いたアンプリコン解析で微生物叢を解明して推進);2-3)選抜した有用微生物群を実生苗に接種,育苗期間中の枯死率,形態的変化,光合成能,各部位の養分含量を分析・評価(菌体懸濁液を培土に灌注する方法とサゴヤシ根を懸濁液に浸漬する方法におよる効果を比較);2-4)有用微生物接種苗の泥炭土壌での成長評価 3-1)サゴヤシに内生する有用放線菌の選抜,培養(腐敗病菌への抗菌性を検討して推進);3-2)選抜した放線菌をサッカー苗の切除面に塗布(病害性微生物の侵入を防ぐ生物的防除法の効果検討);3-3)サゴヤシ樹皮灰を切除面に塗布する物理処理(木灰利用による切除面腐敗防止を検討する) 現地プランテーション圃場,協力教育研究機関ならびに協力企業の圃場や研究施設の活用,また,国内の参画機関の設備を合わせての連絡試験の実施も交えて各課題に取り組む。
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