研究課題/領域番号 |
23KK0118
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
山本 洋嗣 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10447592)
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研究分担者 |
Strussmann C.A. 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (10231052)
市田 健介 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70882637)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2029-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
21,190千円 (直接経費: 16,300千円、間接経費: 4,890千円)
2028年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2027年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | アルゼンチン / 地球温暖化 / 環境依存型性決定機構 / 温度依存型性決定機構 / トウゴロウイワシ目魚類 / ペヘレイ / 性決定 / トウゴロウイワシ / 生物多様性保全 |
研究開始時の研究の概要 |
トウゴロウイワシ目魚類は南米諸国における水産重要種であり、野生環境では小型種は多くの魚食性生物の餌生物として、大型種は上位捕食者として、湖沼・河川・沿岸生態系を支える極めて重要な位置を占める。しかし、本目魚類はその性決定機構が高い水温依存性を示すことから、特に地球温暖化・気候変動に起因した性比不均衡と地域集団の絶滅が危惧される種である。本課題では、南米における魚類資源の持続的利用と水圏生態系・生物多様性保全に資するため、トウゴロウイワシ目魚類の雌雄比・生殖異常の実態調査と、先進の生殖工学的手法を駆使した遺伝子資源の半永久的保存体制の構築に取り組む。
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研究実績の概要 |
本課題では、魚類資源の持続的利用と水圏生態系・生物多様性保全に資するため、種の存続に直結する「繁殖」とその根幹をなす「性」に与える地球温暖化・気候変動の水温影響評価および保全技術の開発に取り組む。そのため、魚類で最も高い性の水温感受性が実証され、他種に先駆けて地球温暖化・気候変動の影響を受けると予想される南米原産トウゴロウイワシ目に着目し、その生殖異常の実態調査と、先進の生殖工学的手法を駆使した遺伝子資源の半永久的保存体制の構築を目指す。活動1年目の2023年度は、研究代表者らの研究グループがアルゼンチンを訪問し、本事業のカウンターパートであるサンマルティン大学およびラ プラタ大学の研究者らとキックオフミーティングを行い、実験計画の確認を行った。また、本課題におけるアルゼンチン国内の標準サンプリング地点にて対象種であるトウゴロウイワシ目ペヘレイのフィールド調査を行い、200尾を捕獲した。捕獲個体については、サイズ(体長・体重)組成、年齢構成(耳石を用いた日齢・年齢査定)を調査し、年級群に区分したところ、捕獲個体の約90%が2022年級群であることが明らかとなった。現在、年級群別に表現型性(雌雄)判別、Y染色体マーカーamhy遺伝子による遺伝型性(XX/XY)の判別、生殖腺の性状、生殖能力 (生殖細胞数)を検証中である。さらに、代理親魚技法の確立に向け、レシピエントおよびドナーに適した遺伝型を検討し、XX、XY、YY個体の作出および飼育を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本事業は2023年10月開始であるが、初年度は当初の計画通り、アルゼンチンにてキックオフミーティングを行い、予定していた標準サンプリング地点の湖でトウゴロウイワシ類の捕獲調査を行うことができた。さらに捕獲した個体の年齢査定、生殖腺解析の一部を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、アルゼンチンにて昨年度と同様の捕獲調査を行うとともに、2023年度の捕獲個体の調査を継続する。特に、2023年度の標準サンプリング地点における捕獲調査では複数の性転換個体(表現型性と遺伝型性のミスマッチ個体)を検出した。そこで、これら性転換が異常水温に起因するものなのかを解明するため、性転換個体の耳石の微細構造解析に基づいた孵化日・日齢査定を継続して行い、推定性決定時期(孵化後数週間)に捕獲個体が経験した水温履歴を環境パラメータ情報から復元し、性転換と経験水温の因果関係を調査する。加えて、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)により検出した耳石微量元素(Sr, Ca, Na等)の変動パターンから、個体が生涯に渡り時系列的に体験した水温履歴を推定する。また、本課題のもう一つの柱である代理親魚技法を駆使した遺伝子保存技術の開発のため、研究代表者らが保有するトウゴロウイワシ目魚類を用いて、稚魚から成熟魚までの経時的サンプリングを行い、各成熟段階に含まれる生殖幹細胞の出現頻度の評価を行う。代理親魚技術においては、生殖幹細胞のみが宿主生殖腺へ取り込まれることが明らかとなっている。そこで本種の経時的な生殖腺サンプリングを行うことで生殖幹細胞数がどのような変動を示すかを明らかにする。
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