研究課題/領域番号 |
23KK0124
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
今内 覚 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (40396304)
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研究分担者 |
前川 直也 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (70829035)
岡川 朋弘 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (80829036)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,800千円 (直接経費: 16,000千円、間接経費: 4,800千円)
2026年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 家畜悪性伝染病 / 免疫撹乱因子 / 免疫疲弊化 / 免疫チェックポイント / プロスタグランジンE2 / マダニ / 慢性感染症 / ウシ / 海外悪性伝染病 / 免疫抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
マダニの唾液には、生理活性物質プロスタグランジンE2(PGE2)が高濃度で存在し、宿主免疫の撹乱や抑制、病原体の伝播を促進していることが明らかとなった。このことは、マダニ唾液中のPGE2の免疫撹乱・免疫抑制作用を打破しない限りは、病原体やマダニなどの媒介動物に対するワクチンによる予防効果は期待できず、疾病制御は達成し得ないことを強く示唆するものである。そこで本研究では、リオグランデ・ド・スル連邦大学とのこれまで蓄積した知見を基盤に、家畜悪性感染症の宿主免疫破綻機序ならびにマダニ唾液の免疫撹乱機序を更に分子レベルで明らかにし、家畜の生産性向上に資する新規疾病制御法の共同開発を目指す。
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研究実績の概要 |
家畜悪性感染症が多発する海外の研究者と長年共同研究活動を行ってきた。リオグランデ・ド・スル連邦大学(ブラジル・ポルトアレグレ)とは、マダニの吸血機序の解明、マダニ唾液由来因子の機能解析、マダニ媒介性病原体伝播機序の解明および抗マダニワクチン開発を目標に共同研究を行ってきた。ブラジルに分布するマダニを用いた重要な新たな知見として、マダニの唾液には、生理活性物質プロスタグランジンE2(Prostaglandin E2: PGE2)が高濃度で存在し、宿主免疫の撹乱や抑制、病原体の伝播を促進していることが明らかとなった。このことは、マダニ唾液中のPGE2の免疫撹乱・免疫抑制作用を打破しない限りは、病原体やマダニなどの媒介動物に対するワクチンによる予防効果は期待できず、疾病制御は達成し得ないことを強く示唆するものである。そこで本研究では、リオグランデ・ド・スル連邦大学とのこれまで蓄積した知見を基盤に、家畜悪性感染症の宿主免疫破綻機序ならびにマダニ唾液の免疫撹乱機序を更に分子レベルで明らかにし、家畜の生産性向上に資する新規疾病制御法の共同開発を目指す。 2023年度は、リオグランデ・ド・スル連邦大学にて研究打ち合わせ及びオウシマダニから唾液を回収し、マダニ唾液が宿主免疫に与える影響を解析した。その結果、マダニ唾液が免疫チェックポイント因子LAG-3及びTIM-3の発現を上昇させることが新たに確認され、これらの免疫チェックポイント因子を共発現するT細胞が増加することも確認された。現在、マダニ唾液内の免疫撹乱因子の詳細について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
リオグランデ・ド・スル連邦大学にて、オウシマダニから唾液を回収し、マダニ唾液が宿主免疫に与える影響を解析した。すなわち、ウシの末梢血単核球を分離し、オウシマダニの唾液と共培養した。その結果、CD4陽性T細胞上の免疫チェックポイント因子CTLA-4及びPD-1の発現上昇が確認された。またCTLA-4及びPD-1を共発現するCD4陽性T細胞の増加も確認された。CD8陽性T細胞では、CTLA-4、PD-1に加え、免疫チェックポイント因子LAG-3及びTIM-3の発現上昇も確認され、これらの免疫チェックポイント因子を共発現するCD8陽性T細胞の増加が確認された。一方、PD-1のリガンドであるPD-L1は、マダニ唾液によってCD11c陽性細胞やCD14陽性細胞上で発現の上昇が確認された。これまでの研究から、これらの免疫チェックポイント因子は免疫を抑制することが明らかになっていることから、マダニ唾液が及ぼす宿主免疫の撹乱作用を現在解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
マダニ唾液が及ぼす宿主免疫応答への影響を行う。すなわち、動物由来リンパ球にマダニ唾液を添加し、どのようなサイトカインなどのエファクター因子が抑制されるか網羅的に解析を行う。また免疫回避機構を標的とした抗体医薬等を添加し、免疫再活性化が誘導されるかも検証する。一方、海外共同研究者と行ってきたマダニ網羅的発現遺伝子解析情報から病原体伝播促進因子やマダニ種間で共通なワクチン候補分子の同定を進めたい。
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