研究課題/領域番号 |
23KK0131
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
畑 啓生 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00510512)
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研究分担者 |
丸山 敦 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (70368033)
竹内 勇一 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40508884)
ZIADI Fabienne 沖縄科学技術大学院大学, 非線形・非平衡物理学ユニット, ポストドクトラルスカラー (00787294)
八杉 公基 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (50722790)
田原 大輔 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (20447907)
佐藤 駿 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (30845821)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2025年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2024年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | アフリカ大陸 / 大地溝帯 / シクリッド科魚類 / 適応放散 / 進化 / 機能形態 / アフリカ古代湖 |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカ大地溝帯のマラウイ、タンガニイカ、ヴィクトリア湖では、シクリッド科魚類が、それぞれ独立に適応放散を遂げた。これらのシクリッド種群について、特に多様化している頭顎骨格形態と、それらの機能を明らかにし、種内比較、種間比較、群集間比較を行い、各レベルでの多様性の創出と維持の仕組みを探求する。三大湖で現地調査し、標本についてマイクロフォーカスX線CT撮影して骨格構造を把握し、3Dモデルを合成し、応力分布や強度分析から機能を明らかにする。また、水槽内で、鱗食魚の行動を記録し、深層学習により個体識別して追跡し、左右性が形成される発達要因と、左右性の鱗食における力学的機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、研究代表者の畑と分担者の丸山がマラウイ湖とヴィクトリア湖に行き、マラウイ大とマセノ大の共同研究者と議論して、また現地調査を行った。また、若手研究者の佐藤は、タンガニイカ湖に行き、ザンビア政府水産庁の共同研究者と議論して、現地調査を行った。 得られた標本について、龍谷大学田原のマイクロフォーカスX線CTを用いて撮影して骨格構造を把握し、3Dモデルを合成した。これにより、タンガニイカ湖の鱗食魚、Perissodus microlepisにおいて、頭顎形態に実際どのような種内多型である左右性がみられるのか、それは個体の発生の過程でどのように変化するか、という発達要因について、解析し、論文にまとめている。 また、マラウイ湖のシクリッドDocymodus evelynaeについて、胃内容物を解析し、この種は鱗とともに、コイ科のLabeo属魚の追星を摂食していることを明らかにし、学会発表して、論文にまとめ、学術誌に投稿している。 現在、これまで保有しているサンプルに加え、本年度採集したサンプルもあり、タンガニイカ湖全ての鱗食魚種について、マイクロフォーカスX線CT撮影を行い、左右非対称性など鱗食に適応した機能形態の進化について解析しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請研究は、アフリカ大地溝帯の三大古代湖(マラウイ・タンガニイカ・ヴィクトリア)で、それぞれ独立に適応放散を遂げたシクリッド科魚類について、特に多様化している頭顎骨格形態と、それらの機能を明らかにし、(1)種内比較(鱗食魚の左右性)、(2)種間比較(藻食魚のニッチ分割)、(3)群集間(3湖間)比較を行い、各レベルでの多様性の創出と維持の仕組みを探求することを目的としている。 本年度は、研究代表の畑と分担者の丸山がマラウイ湖とヴィクトリア湖に行き、マラウイ大とマセノ大の共同研究者と議論して、また現地調査を行った。また、若手研究者の佐藤は、タンガニイカ湖に行き、ザンビア政府水産庁の共同研究者と議論して、現地調査を行った。また、得られた標本について、龍谷大学田原のマイクロフォーカスX線CTを用いて撮影して骨格構造を把握し、3Dモデルを合成した。これにより、タンガニイカ湖の鱗食魚、Perissodus microlepisにおいて、頭顎形態に実際どのような種内多型である左右性がみられるのか、それは個体の発生の過程でどのように変化するか、という発達要因について、解析し、論文にまとめている。また、マラウイ湖のシクリッドDocymodus evelynaeについて、胃内容物を解析し、この種は鱗とともに、コイ科のLabeo属魚の追星を摂食していることを明らかにし、学会発表して、論文にまとめ、学術誌に投稿している。現在、これまで保有しているサンプルに加え、本年度採集したサンプルもあり、タンガニイカ湖全ての鱗食魚種について、マイクロフォーカスX線CT撮影を行い、左右非対称性など鱗食に適応した機能形態の進化について解析しつつある。このように、本研究課題は順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、今後もアフリカ大地溝帯の三大古代湖(マラウイ・タンガニイカ・ヴィクトリア)に現地調査に赴き、マラウイ共和国マラウイ大学、ザンビア共和国水産庁、ケニヤ共和国マセノ大学の共同研究者と共同して、サンプル採集や野外観察など現地調調査を行い、得られた標本をマイクロフォーカスX線CT撮影して骨格について3Dモデルを作成して、これら魚類の適応放散を促す鍵形質を明らかにする。また、できる限り3湖間での比較を行い、進化の独立性、再現性を考察する。 また、ハイスピードカメラでPerissodus microlepisの鱗食行動を高解像度で捉え、それをCT撮影して作成した頭顎骨格の3Dモデルと合わせ用いて、鱗食時に左右非対称な頭顎に生じる応力分布や強度分析から機能を明らかにする。 また、水槽内で、鱗食魚の行動を長期記録し、深層学習により個体識別して追跡し、左右性が形成される発達要因と、左右性の鱗食における力学的機能を明らかにする。さらに、鱗食魚の3DCGモデルを泳がせて提示するVR技術を用い、この種内多型が少数派有利の負の頻度依存選択によって維持されていることを実証する。
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