研究課題/領域番号 |
23KK0152
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
鈴木 幸一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (20206478)
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研究分担者 |
桐谷 光夫 帝京大学, 医療技術学部, 研究員 (10971335)
三上 万理子 帝京大学, 医療技術学部, 研究員 (20840276)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
21,190千円 (直接経費: 16,300千円、間接経費: 4,890千円)
2025年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | ハンセン病 / らい菌 / LAMP / DNA chromatography / 薬剤耐性 / 核酸迅速診断 / 薬剤耐性菌 / 迅速診断法 / インドネシア |
研究開始時の研究の概要 |
ハンセン病は、らい菌による皮膚の感染症であり、日本人における発症はほぼ無くなったが、世界では未だ年間20万人近くの新規患者が報告される重要な疾患である。ハンセン病の感染拡大を防止するための対策として、患者の濃厚接触者に予防投薬が行われるようになった。しかし、そのためには、その菌が薬剤が効かない耐性菌ではないことをあらかじめ確認する必要があるが、高度な検査であるために途上国で実施するのは困難であった。我々は最近、ハンセン病の薬剤耐性菌の簡便な検査法を開発した。本研究では、検査法の有用性をインドネシアで検証し、現場に即した検査法として完成させることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、世界のハンセン病対策にも大きく貢献しているインドネシアAirlangga大学皮膚科Cita教授との国際共同研究を行い、我々が独自に開発したハンセン病の薬剤耐性菌の臨床現場即時検査(point of care testing: POCT)キットを検証し、途上国に即した検査法として完成させることを目的とする。 2023年度では、研究代表者である鈴木と研究分担者である三上、桐谷の3名でAirlangga大学に直接訪問し、Cita教授と本研究課題に関係するハンセン病研究者および皮膚科医をはじめとする医療従事者らと合同で研究ミーティングを行った。ミーティングではプロジェクト内容の説明、本研究で用いる予定の薬剤耐性菌検査キットのデモ機を持参し、動作確認や反応原理などの説明を行い、十分な理解を得ることができた。また、Airlangga大学附属病院であるSoemoto病院内の視察を行い、ハンセン病の現在の検査法はPCR法ではなく、抗酸菌染色によるらい菌を顕微鏡によって検出する方法であることや、耐性菌の検査を行う設備がないことなどの実際に現地での医療資源を確認し、本研究によるハンセン病および薬剤耐性菌の簡易核酸迅速診断法の確立が、極めて有意義であることを再認識した。Airlangga大学内の研究設備の視察も行い、ハンセン病研究を行う基礎研究者らと交流を深めることができ、今後の渡航において菌からのDNA抽出法などの検討を共同で行える良好な関係性を築くことができた。 同時に国内において、インドネシアに持ち込むキットのさらなる改良や輸送上の問題解決などを進めた。訪問時に持参したデモ機において展開液の封入に用いたアルミ製のヒートシールが航空機内の気圧差により破裂することがわかり、メーカーと協議の上改良品を製作し気圧による影響を受けないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はインドネシアのSoemoto病院、Airlangga大学に訪問し、医療設備の水準やハンセン病患者の受入状況、研究施設の機器等を確認し、Cita教授との顔を合わせた初回の研究打ち合わせを行うことができた。また、ハンセン病基礎研究者らとも本検査キットの動作原理について討論を交わすことができ、2024年度から始まる実際の患者検体を使用した迅速診断キットの検討について、両国間の良好な関係性を築くことに成功した。インドネシアで検証を行うキットの準備も計画通り進行し、航空機内の気圧差によるアルミシール破損の問題も解決した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に変更はなく、今年度は分担者である桐谷と三上がインドネシアに渡航し、実際に3Dプリンターで造形したプラスチック製の検査キットを持参し、らい菌DNAの検出、および薬剤耐性が疑われる患者が発見され次第、サンプリングを行い薬剤耐性の有無を本キットで確認する予定である。検体は菌の抗酸性染色用検体の採取と同様の皮膚スメア検体を用いて、らい菌DNAの抽出法を検討する。また、現地で使用した検体は日本に持ち帰り、国内の実験環境でPCR法と本キットを用いて検出感度を比較検討する。薬剤耐性を検出した検体は薬剤耐性遺伝子領域をPCRで増幅した後に次世代シークエンサーにより、実際の遺伝子変異を確認する。
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