研究課題/領域番号 |
23KK0188
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
黄瀬 浩一 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (80224939)
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研究分担者 |
石丸 翔也 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 特任教授 (10788730)
Vargo Andrew 大阪公立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (60869410)
岩田 基 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 准教授 (70316008)
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研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2025年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 生成AI / 人間学習支援 / 問題生成 / 錯乱肢生成 / 読書行動解析 / フェイク情報 / 検索行動解析 / 学修支援 / ハルシネーション / DFKI / LIMSI-CNRS |
研究開始時の研究の概要 |
ChatGPT を始めとする生成AI は、人間の学習方法をも大きく塗り替えるポテンシャルを秘めている。一方で、ハルシネーションなどの問題や倫理面での不安も指摘されており、使い方を誤れば大きな問題が生じる。本研究課題では、世界最大規模の人工知能研究組織であるドイツ人工知能研究センター(DFKI) とその中心的な存在であるDengel 教授、フランスで人工知能と倫理に関する第一人者であるLIMSI-CNRS のDevillers 教授の2 名の協力を得て、上記の問題を解決しつつ、生成系AI という技術により、人間学習の未踏の章を綴ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、生成AIを用いて人間の学習を支援するための国際共同研究である。 初年度である2023年度には、以下の研究を実施した。 (1) 英語4択問題の難易度調整:4択問題の錯乱肢を言語モデルを用いて生成することによって、学習者に応じた難易度とする手法を開発した。/ (2) 生成AIによる問題生成:英語学習者が英文を読む際に、理解が十分ではない箇所を検出し、内容が理解できているかどうかを、内容を問う問題を生成することにより、理解を促進する手法を開発した。/ (3) モバイルデバイスを用いた読書行動解析:スマートフォンを用いて英文を読む際に、スマートフォンの持ち方やスクロールなどの読書行動を解析することで、未知単語を自動推定する手法を開発した。その際、読む内容が学習者の興味を引くように生成AIにより作成した。/ (4) フェイク情報検出のための検索行動解析:表示されたテキストがフェイク情報を含むかどうかを確認するタスクを与え、検索行動を解析することにより、ユーザがフェイク情報を検出する能力を評価した。(5) 知識伝達時の理解度推定と分かったふりの検出:既学習者から未学習者に知識を伝達する際に、知識がうまく伝わったかどうかを判定する手法として、表情や視線、姿勢を解析することにより。未学習者(知識を受ける側)の理解度を推定することを試みた。また、特に日本人が外国人と会話する際に見受けられる「分かったふり」の検出が、知識伝達を保証する上で重要になるとの観点から、その検出も試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で挙げた研究はすべてドイツ人工知能研究センター(DFKI)との共同研究により成されたものである。(1)については、日本で基盤となる技術を開発した後、研究を担当している学生を半年間の予定でDFKIに派遣し、現在、ドイツでこの手法を評価・拡張中である。(2)については、DFKIの元研究者で、現在は大阪公立大学に勤務するものとの共同研究である。(3)については、(1)と同様に日本で基盤となる技術を開発した後、研究担当の学生を半年間DFKIに送って、評価実験を行ったものである。(4)については、DFKIとの共同研究を新たに始めるため、研究担当学生を半年間DFKIに派遣して、DFKIの研究者とともに得た成果である。 このように、ドイツとの間での国際共同研究は着実に進んでいることから、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記に挙げた研究を継続するとともに、それをフランスとの共同研究にも広げて、さらに詳細な評価を行うとともに、拡充の手がかりを得ることを考える。加えて、生成AIを用いた、さらなる学習として、(1) 現在のものとは異なる形式の英語学習が可能かどうかを検討すること、(2) 英語学習だけではなく、他の科目の学習にも適用すること、などを進めていく予定である。(3) 研究実績の概要で述べた内容は、不足する知識の検出(Perceicing)、新しい知識の習得 (Mastering)に関するものである。今後は、これらに加えて習得した知識の伝達 (Transferring)の各種手法についても検討を進めていく。国際共同研究という形式にはなっていないが、すでに知識を伝達する際の理解度の推定方法、伝達の障害となるわかったフリの検出(いずれも表情や姿勢などを手がかりに推定する)への基礎的検討を終えている。今後はこれらを国際共同研究として実施する予定である。
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