カザフスタンとキルギスは、ソヴィエト連邦の解体時に多くの側面で類似していたが、その後カザフスタンでは「関係性型クライアンテリズム」が構築されて権威主義体制を支え、対照的にキルギスでは「単発型クライアンテリズム」が発達し独裁体制が崩壊してきた。同時に両国は、ときに体制による偽情報がSNSなどを通じて拡散され、近年進展する政治改革に呼応するかたちで反政府抗議運動が増大している。また独立以後、両国の政治指導者たちは自らの手足たる統治エリートをどのように懐柔するべきか政治ポストの分配に腐心してきた。クライアンテリズムの形態に重要な違いを持つ両国を比較し、現代の独裁制の強靭性と脆弱性の原因を探究する。
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