慢性疼痛は、患者のQOLを著しく損なう難治性疾患である。その原因として、痛覚伝導路の可塑的変化による長期的な疼痛感作が考えられるが、その分子機構については不明な点が多い。可塑的変化の過程では、興奮転写連関(E-T coupling)が重要と想定される。申請者は、基課題から得られた成果から、Ca2+チャネルを中心とした分子複合体が、E-T couplingを介して痛覚伝導路の可塑的変化に関与するという仮説に至った。本国際共同研究は、基課題で発展させた独自の技術や成果を応用することで、従来の疼痛研究とは異なる観点から、慢性疼痛の発症に至る新たな分子機構を解明し、新規の慢性疼痛治療薬の創出を目指す。
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