研究課題
基盤研究(B)
平成26年度は立后・入内を比較研究の対象儀礼として取り上げて、日中韓越四カ国の比較研究を行う予定で、日本(平安)、中国(唐代)、韓国(朝鮮王朝)の婚礼関係史料を共同研究者に依頼して収集した。ベトナムの事例を加えて、平成26年秋に共同研究者が集まって研究会を実施する予定であったが、研究代表者の川本重雄が勤務校を退職したために、研究は継続できなくなった。したがって、ここでは日本の平安時代の立后の具体例について報告する。『貞観儀式』の事例では、立后は紫宸殿の前及び承明門前に参集した親王・官人に対して立后の宣旨が宣制され、後日親王以下は内裏北面に参集し、皇后に対する慶賀の儀を行う。『江家次第』では、女御は里邸で立后の慶賀を受けるため、皇后の倚子も内裏から里邸に運ばれ、立后大饗が里邸で行われる。『中右記』が記す藤原璋子立后の事例では、永久6年1月14日に璋子の立后が決まると、同月20日に璋子は三条烏丸殿に移り、同月26日に立后の宣旨が下され、同日三条烏丸殿で立后大饗が開かれた。今後、できるだけ早く共同研究を再開させたいと考えている。日本の住まいの歴史を「壁の空間」「柱の空間」という視点から再検討した「日本住宅の歴史」(新体系日本史14)が刊行された。宮殿の儀礼用建築が寝殿造に取り入れられ、それがその後の日本の住まいのあり方を決定したことを述べた。上記、東アジアの宮殿儀礼の比較研究は、日本的な部分をより明確にしようと進めているものであり、この日本的な建築文化が、民家レベルでどのように広まっていったかを知るために、これまで九州・沖縄民家及び近世初頭以前に遡る民家の調査を合せて実施していた。今後、この研究も早急に再開させ、日本建築の特質とその形成過程さらにはその波及過程を多面的に明らかにしたいと考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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