配分額 *注記 |
10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2013年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2012年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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研究概要 |
研究代表者は「トリのグリオーマ」がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本課題の目的は神経系に病原性を示すALVの国内外の感染状況ならびに分離株のゲノム多様性と病原性の相関を明らかにすることである。初年度である今年度は国内各地で生産された日本鶏の疫学調査を実施するとともに,海外調査に適した材料採取方法を検討した。得られた成果は以下の通りである。1.国内16ヶ所で生産された日本鶏77羽中26内種を含む68羽(88.3%)がFGV特異的nestedPCRで陽性を示した。2.PCRで陽性となった48羽からALVの分離を試みたところ,8ヶ所,県別に見ると福井,静岡,島根,愛媛および高知の5県で生産された鶏からALV株が分離された。これらのうち,7株のnestedPCR検出領域はFGV特異配列と高い相同性(90~98%)を示した。3.一方,日本鶏にはFGV特異配列を持つ未知の内在性レトロウイルスが存在することが示唆された。このため,FGV特異的PCRの成績の判定だけでは正確な神経病原性ALVの感染率は得られないことがわかった。4.分離株のenvSU領域に基づく分子系統樹では福井,静岡,島根および愛媛で分離された5株がFGVまたはFGV変異株Sp53と同じクラスターに分類された。5.有精卵からのALV分離を試みたところ,ALVは分離されたが,分離率は孵化率に依存するため,海外調査ではこの採取方法を補助的に用いることにした。6.以上の成績から,海外調査を行うためにはFGV特異配列の有無にかかわらず日本鶏に感染するALVを分離し,これらのウイルスゲノムおよび病原性を解析する必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の目的は神経系に病原性を示すALVの国内外の感染状況ならびに分離株のゲノム多様性と病原性の相関を明らかにすることである。今年度の成績により,国内の日本鶏の感染率が明らかになった。また,日本鶏の多くが未知の内在性レトロウイルスを持っていることがわかった。以上の成績から,順調に進展していると判断した。これを踏まえて,海外調査を行う予定である。
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