配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2014年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2013年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2012年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究概要 |
近年原発性肺がんにおいて,マイクロRNA(milmA)と肺がんの様々な性質との関連が明らかにされてきている.Mir-34bは様々な腫瘍と関連が高く,前立腺がんとも関わりが知られている.ヒト肺がんにおいてmir-34bのDNAメチル化による発現抑制と脈管侵襲に関連があることを見いだし,2011年に報告した.さらに,腫瘍細胞において特定のmiRNAではなく,総miRNA量の低下が注目されている.その一例がpleuropulmonary blastomaの原因として知られるDICER複合体を構成するTarRM、binding protein 2(TARBP2)遺伝子の点突然変異である.そこで,原発性肺がんにおけるmiRNAの総量を規定するmiRNA生合成系の異常を明らかにするために,肺がん由来株および患者組織におけるDICER,TAIBP2などの総miRNA量,発現および機能異常について正常対照と比較検討することにした.その結果,検体から抽出されるmiRNA量が微量かつ不安定であること,リアルタイムPCRの条件決定に困難を極めたこと,患者組織の保存状態及び凍結までの処理時間が異なること,検体に含まれる腫瘍細胞以外の間質の影響などから再現性を得ることが難しかった. 一方で,mir-34と同様に前立腺がんと関わりがあり,何らかの共通のメカニズムが示唆され,抗腫瘍作用のあるMxA(Myxovirus resistance A),2'-5'オリゴアデニル酸合成酵素(OAS)1に注目し,同タンパクが,抗ウイルス作用を有することからSARS患者と正常対照で比較検討する共同研究を行った.その結果,MxA遺伝子は,正常気管支上皮に発現しており,遺伝子多型により発現が変化し,サイトカイン刺激により発現が異なることを報告した.さらに遺伝子多型は,SARS患者の重症化と関連することを報告した.また,OAS1遺伝子も同様に正常気管支上皮細胞に発現し,OAS1遺伝子多型も,SARS発症および重症化に関連が認められた. 以上から,遺伝子多型によってもたらされる抗ウイルスタンパクおよび総miRNA量の発現の変化は,感染症のような炎症に対する宿主感受性,さらには腫瘍の発生メカニズムに重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
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