配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2014年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2013年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2012年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究概要 |
乳がんは女性において,罹患率が最も高いがんである.特に生物学的悪性度が高く,予後が悪いトリプルネガティブ乳がん(TNBC : triple-negative breast cancer)はその標的分子が同定されていないため,既存のホルモン療法や抗human EGFR-related2(HER2)療法が効かず,効果的な治療法がないことから,その発症および進展メカニズムの解明,治療法の確立は急務である.本研究では,次世代シークエンサーによるゲノム解析とDNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を組み合わせることにより,トリプルネガティブ乳がんの発症および進展に関与する新規遺伝子を効率的に同定することを目的としている.さらに,それら新規遺伝子を標的とした治療薬を開発することを最終的な目標としている. TNBC12症例のがん細胞および周辺の正常細胞より,ゲノムDNAを抽出し,Illumina HiSeq1000を用いてエクソームシーケンスを行った.得られたシーケンスデータをヒトリファレンスゲノムhg19にマッピングし(がん細胞では115.1×,正常細胞では89.6×),somatic変異を検出した.合計で1,300個以上のsomatic変異を同定した複数の症例で共通して変異の起こっている遺伝子は53遺伝子あり,そのうち8遺伝子では有意に高頻度に変異の起こっていることが明らかになった.これまでの報告で乳がんで高頻度に変異が同定されているTP53遺伝子にも高頻度に変異が同定され,また,乳がんの原因遺伝子であるBRCA1,BRCA2遺伝子にもsomatic変異を同定した.これらの結果を検証するために,追加のTNBC症例およびその他のサブタイプの乳がん症例を用いて,複数の症例で変異の認められた遺伝子およびこれまでに乳がんとの関連が報告されている遺伝子の領域をキャプチャーし,Illumina HiSeq1000でシーケンスを行った.その結果,これまでの報告と同様に,TP53,PIK3CA,NF1などに変異が高頻度に起こっていることが明らかになった.この他にもいくつか,変異の起こっている遺伝子を同定したので,さらなるバリデーション,機能的評価を行っている.
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