近代日本においてミソジニーは、女性排除的な職業世界に生きていたエンジニアや上級海員のような上層技術労働者層男性との結びつきよりも、ホモソーシャルの確認を通じなければ構築に困難をともなう都市新中間層の男性性と強く結びついていた。また明治(近代初期)よりも、大正末期から昭和初期にかけての(民族主義的)国家社会主義運動の高まりの中で、一度は包摂した女性を社会運動から排除していくイデオロギーとして機能した。しかしそのような社会運動の行動主義化・青年運動化に、宗教的禁欲主義と結びついたホモエロティシズムが明確に可視化されていかない点に、ドイツやイタリアにおける青年運動との相違がみられた。
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