研究課題
基盤研究(C)
本研究は、介護労働者による自己の労働経験についての語りを分析することを通して、有償ケアの労働過程における(自己)統制メカニズムとそのジェンダー化された特性を明らかにした。労働概念は、精神による対象化作用として定義されているために作動性概念を中核とする男性性に極めて親和的な概念である。他方、対人サービス職はコミュニケーション過程を通した相互作用を労働対象とするという矛盾を抱えている。ケア労働においてはケア・サービス利用者がもつケアに関連するジェンダー化された感情規則と衝突することを避けるために、感情規則そのものを労働対象化することによって、ジェンダー規範の揺らぎが生じていることが明らかになった。