動的文法モデルに立脚し、とりわけ否定辞付き話題化構文について、否定辞付き文断片と述部省略文の統合との観点から、幅広い一次発話資料の観察と統合を動機づける特性の抽出をはかった。当構文は拒絶や禁止などの複合否定発話行為の言語的手段であること、話題句は拒絶や譲歩を認めない状況・条件等を典型的に提示し、述部省略による否定焦点化との複合により要求や命令などの強い意図も間接的に表しうること、またその機能の顕在化が文断片統合の重要な動機である可能性があることなどを観察・抽出した。外的所有格構文に関係する文断片等の事実観察も行い、その特異性、とりわけ所有格表現に代わる定冠詞の出現を導出する試案を得た。
|