中国語を母語とする学習者にとって識別の難しい入声音に焦点を当てて三部構成の日本語漢字音教材を開発した。まず、日本語字音を北京語、中国語南東部方言や韓国語の字音と対照させ、北京語で同音になる字群が他の言語では二つの異なる終わり方をすることを知る(例:fu 復・腹・福 フク、富・父・付 フ)。次に、音符を活用して、既習字音から未習字音を類推しつつ入声・非入声を識別する(適・敵→摘:入声、低・底→邸:非入声)。さらに、既知の語から音変化の規則性(例:発見と発明)を帰納的に導き出し、未習語に応用する。教材作成の基礎として、227の音符データベースを作り、学習者の方言使用・方言字音識別等の調査を行った。
|