1930年代の米国において,会計基準設定権限を付与されたSECは,そのリソース不足から自らが会計基準を設定することを断念し,会計プロフェッションに圧力をかけて会計基準設定主体となるよう誘導した。こうしてSECは「エンドーサー兼エンフォーサー」となり,「会計基準設定のアウトソース」という体制が成立した。現在,国際的にもIASBに対して同様のアウトソースが行われているが,検討の結果,IASBが正統性の源泉として「代表性」ではなく「独立性」と「専門性」を選択したことが,多くの国・地域,国際金融規制のネットワークから会計基準設定をアウトソースされる上での重要な要因となったことが明らかになった。
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