研究課題
基盤研究(C)
この研究の目的は、完全に2経路が分離されたジャマン型干渉計開発の成功に基づき、これを発展させた多層膜冷中性子干渉計の開発によって微弱な相互作用の検出感度に優れた新しい実験手法を確立し、基礎科学に超低エネルギー物理の新しい分野を拓くことである。長波長中性子(冷中性子)に適用できる大型の干渉計の開発・応用によって微弱な相互作用検出の高感度化を図る多層膜冷中性子干渉計の開発と応用は世界に類のない日本発の独創的な研究である。本研究ではこれまでの成果を踏まえ、<分離した経路の一方にのみ相互作用させる装置を挿入する>、<分離した経路に囲まれた面積に比例する相互作用を検知する>、<分離した経路に囲まれながら中性子に曝されることのない装置を挿入する>など,長波長中性子による干渉実験の可能性を拓くことを目指した。一般にギャップを拡大するにつれ、アラインメントに対する精度要求が厳しくなる。アクティブ防振台の導入は成功のひとつの本質的に重要な鍵であった。振動・温度・磁場等の環境要因の、中性子計数との同時測定を導入し、環境要因を変化を記録しながら干渉縞のコントラストへの影響を精査することが不可欠であったが、東海村の研究炉JRR-3の震災後の利用再開に至らずビーム利用を要する研究が進められなかった。本研究とこれまでの成果の社会還元として「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI(研究成果の社会還元・普及事業)」において、HT25146【光の波・物質の波 ~実験を通じて<イメージ>をつくる体験~】を実施した。先ず波動現象を<観る目>を持ってもらうことに価値をおき、目に見えないことも予想と議論と実験を重ねて目に見えるようになる、<科学の体験>を提供することが出来た。科学啓蒙活動に意識の高い学生スタッフに良い機会を提供することもできた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2012 Issue 2 号: 1 ページ: 2B007-0
10.1093/ptep/pts075