研究課題
基盤研究(C)
研究の目的皮膚の色素幹細胞は加齢やゲノムストレスによって自己複製しなくなると、色素細胞が不足するため、毛が生え変わるたびに白髪になる。一方、色素細胞系譜のメラノーマはゲノムストレス毒性ストレスに抵抗し予後が悪いことが知られている。そこで、一定レベル以上のゲノムストレスに応答して色素幹細胞の運命を制御する仕組みを想定し、その分子基盤を酸化ストレスに着目して探る。これにより、色素幹細胞における加齢変化や変異蓄積に伴って、色素幹細胞が癌幹細胞の性質を獲得するメカニズムを明らかにし、治療へと役立てる。研究結果活性酸素(ROS)による色素幹細胞システム制御の検討放射線や紫外線によりROSが色素幹細胞システムに発生するかをROSによって産生されるDNA酸化物8-oxo-dGuoの量でモニターしたところ、ストレスの種類と相関性があることが明らかになった。さらに、マウスに抗酸化剤を投与したところ、放射線や紫外線による毛色の変化が抑制され、色素幹細胞の自己複製能がROSによって制御されていることが分かった。また、酸化ストレスによりKeap1により抑制が解除される酸化ストレスセンサータンパク質Nrf2の発現を調べたところ、Nrf2の発現上昇とも相関性があることが判明した。Nrf2の発現箇所を色素幹細胞マーカーであるc-Kitやニッチの一つである毛包幹細胞マーカーのK15、CD34、S100a6を用いた二重染色により調べたところ、Nrf2はユビキタスに発現していることが明らかとなった。現在Nrf2欠損マウスについて調べている。