研究課題
基盤研究(C)
リボソームタンパク質S19(RP S19)のリボソーム内機能は維持しながらリボソーム外機能が特異的に障害されるGln137Glu-RP S19ノック・イン・マウスを用いて、RP S19多量体のリボソーム外機能の役割について研究した。1.前年度明らかにしたノック・イン・マウス由来の凝血塊に対するマクロファージ動員の低下と貪食処理遅延は、RP S19多量体の機能を持つC5a/RP S19組換え体を凝血塊内に共存させることで解消した。2.計画では、1に続いて血管内の凝血塊に対するマクロファージ動員におけるRP S19多量体の役割を観察する予定であったが、静脈注射や頸動脈確保手技が確立できなかったため、胸膜炎モデルにおけるマクロファージ動員に関する実験に切り替えて実施した。カラゲニン胸膜炎においても、卵白アルブミンを用いたアレルギー性胸膜炎においても、ノック・イン・マウスでは野性型マウスに比べて胸腔へのマクロファージ動員が減少して多核球の貪食処理が遅延したことで急性炎症が遷延し肺実質まで拡大した。この急性炎症の遷延と拡大も、C5a/RP S19の胸腔内同時投与で完全に防止された。これらの結果から、凝血塊吸収や急性炎症終焉におけるRP S19多量体のリボソーム外機能の重要性が明らかになった。3.計画では、2で起きる脳梗塞を観察する予定だったが、予備的脳観察時に、ノック・イン・マウスの海馬が野生型の70%しかないことを見出した。海馬と皮質の抽出液を調べたところ、海馬にのみRP S19多量体が存在し、しかもノック・イン・マウスではそれが激減していた。そこで一連の行動観察を行った。ノック・イン・マウスでは海馬が関与する空間記憶が低下していた。ノック・イン・マウスを作成して脳を観察したことでRP S19多量体の海馬における予期せぬ役割を見いだせた。
すべて 2014 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Exp. Mol. Pathol.
巻: 95 ページ: 364-375
Pathol. Int.
巻: 63 ページ: 581-590
Clinical & developmental immunology
巻: 2012 ページ: 1870-1880
10.1155/2012/187080