研究課題
基盤研究(C)
我々はこれまでに、新規依存性受容体UNC5Dがアポトーシス誘導と直接関連し、その高発現は病期3、4の進行神経芽腫において予後良好に繋がることが判明した。さらに、UNC5Dアミノ酸配列にカスバーゼ8認識サイトが存在することで、UNC5D はそれによる細胞死誘導経路に機能的役割を担う可能性が示唆される。本研究は、デス受容体を介した神経芽腫の細胞死誘導にUNC5Dの機能的役割を解明することを目的に検討を行った。結果として、UNC5DがTNFα又はTRAILによる細胞死シグナルの活性化において誘導され、デス受容体を介した細胞死を促進することが明らかにした。さらに、UNC5Dアミノ酸配列には新たなカスバーゼ3/8認識サイトが同定された。そこを切断して生まれたUNC5D断片は細胞膜に局在するが、リガンドnetrinとの結合ができなくなることによって、細胞増殖シグナルの伝達ができず、細胞死シグナルの伝達へと導くこととなると考える。また、TNFα処理によるUNC5Dの誘導に関わる転写制御機構を検討したところ、UNC5D遺伝子のpromoter領域に転写因子MZF1の推定上の結合サイトが存在し、MZF1の過剰発現した細胞にはUNC5Dが誘導された結果が得られた。そして、TNFα処理した細胞にはMZF1が誘導されたことも見られた。一方では、MZF1の過剰発現はcaspase8を活性化させ、細胞死を誘導することが見出された。これらの結果は転写因子MZF1がデス受容体を介した細胞死シグナル伝達に携わり、UNC5Dの転写制御に関わる転写因子である可能性が示唆される。以上の結果により、UNC5DはMZF1の標的として、デス受容体を介した細胞死において誘導され、細胞死を促進することが示唆される。本研究の成果は進行神経芽腫の治療法の開発に新たな切り口を提供すると期待される。
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