配分額 *注記 |
5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2014年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2013年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2012年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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研究概要 |
本研究の目的は、乾癬発症機序におけるTh17, IL22, IL23~STAT3, その下流におけるシグナル伝達を詳細に解析し、新たな乾癬の治療薬開発につなげることである。 正常ヒト角化細胞を用いたin vitro系でのシグナル伝達では IL-22刺激によりSTAT3がリン酸化され、STAT3, Bcl3ともに発現が増強した。 この反応はSTAT3ドミナントネガティブ遺伝子変異体導入にてBcl3の発現誘導は抑制された。 さらにIL-22によるBcl3とp50の核移行について検討した。IL-22刺激後経時的に核分画をサンプリングし、ウェスタンブロットにて検討し、抗Bcl3抗体、抗p50抗体を用いて免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。 IL22刺激ではBcl3, p50とも蛋白発現が増強し、さらに両者とも核内へ移行した。以上の所見から臨床的に重要とされているIL22系のシグナル伝達は、角化細胞内ではSTAT3, Bcl3, p50の経路で伝達されていることが明らかとなった。IL22刺激によりSTAT3がリン酸化されるため、STAT3により遺伝子誘導されるHB-EGF, IL-8, S100A7, HBD2 について発現が誘導されるかreal time PCRにて確認したところ、予想通り IL22により HB-EGF, IL-8, S100A7, HBD2とも遺伝子発現が誘導された。さらに尋常性乾癬の病変部において実際に Bcl3, p50の発現が増強しているかについて免疫組織学的に検討したところ、病変部表皮において両者とも発現が増強し、その発現部位が一致していた。以上の結果から尋常性乾癬の発症機序にIL22から誘導されるBcl3とp50が重要な役割を果たしていることが明かとなった。
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