研究課題
基盤研究(C)
アトピー性皮膚炎は、Th2型の免疫反応と皮膚のバリア機能の異常が複雑に絡み合った慢性炎症性皮膚疾患である。細胞外マトリックスタンパク質の発現誘導や関与が示唆されているが、病態形成の寄与など詳しいメカニズムは明らかになっていない。本研究では、Th2型のサイトカインであるIL-4/IL-13によって誘導される細胞外マトリックスタンパク質periostinのアトピー性皮膚炎における役割について解析を行った。これまでの研究により、periostinがアトピー性皮膚炎の病態形成に寄与している機構の一つとして、periostinがケラチノサイトからのサイトカイン産生を誘導してTh2免疫反応を増幅し、炎症の慢性化に関与していることを明らかにしてきた。本研究では、さらにBALB/cマウスだけではなく、C57BL/6マウスにおけるアトピー性皮膚炎モデルにおいても同様のメカニズムが作用している可能性を示すとともに、TおよびB細胞が欠損するマウスでは皮膚炎が生じないことを明らかにした。また、periostinがケラチノサイトだけではなく、免疫細胞に作用しうる事を見いだした。これらの作用が、組換えperiostinタンパク質処理時のLPSの混入ではない事も確認した。これらの結果は、アトピー性皮膚炎の病態形成におけるperiostinの重要性とperiostinを標的とした創薬の有効性をより支持する結果となった。また、periostinのような細胞外マトリックスタンパク質が組織の構造維持だけでなく、積極的に免疫細胞に作用して炎症などの生物学的プロセスを制御しうるという重要な知見を提供できた。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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