研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、Gdを用いて新規皮膚線維化・皮膚石灰化モデルマウスを作製し、線維化・石灰化病変形成機序における分泌蛋白質MFG-E8の役割を検討することである。マウス骨髄由来間葉系幹細胞の皮下注入と周囲へのGd徐放化ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いて、新規皮膚線維化モデルマウス、皮膚石灰化モデルマウスを作製することを目指した。マウス骨髄より間葉系幹細胞を作成し、マウスの皮下に注入した。その際に、Gdとリン、Gdとリン徐放化ゲルを混ぜて注入した。その結果、Gdのみと比較して、Gdとリン徐放化ゲルと間葉系幹細胞を混ぜて注入したマウスでは、4週間後に皮膚の硬化、線維化が観察された。今後は、この線維化の機序の解明を目指して研究を行う予定である。また、石灰化モデルマウスの作成をめざし、腎性全身性線維症の状態に似た状況を作成することを試みた。すなわち、片方の腎臓を摘出し、腎不全の状態を作成し、その後、 Gdとリンと間葉系幹細胞、Gdとリン徐放化ゲルと間葉系幹細胞を混ぜて皮下注入したが、石灰化は得られなかった。In vitroにおける間葉系幹細胞の石灰化におけるMFG-E8の役割を検討するために、MFG-E8 WTとKOマウスの骨髄より間葉系幹細胞を作成した。FACSにてそれぞれの表面マーカーの比較も行った。石灰化を誘導する培地を用いて、石灰化を誘導し比較検討を行った。その結果、MFG-E8 WTマウス骨髄由来間葉系幹細胞の石灰化がより誘導された。これらの知見より、今後は MFG-E8 WT、KOマウスに石灰化を誘導し、比較検討したい。